Kiva means “
金は天下の回りもの。でも1対1(P2P)の融資は難しい。増してや途上国の人にお金を貸すなんて、雲を掴むような話である。
これを変えたのがサンフランシスコのKiva.org。途上国の起業家に個人が貸付けできるマイクロファイナンシング(小口金融)のオンラインシステムを世界で初めて実現した非営利団体だ。先ごろNYタイムズ・マガジンが選ぶ「2006年のトップ・アイディア」のひとつに入った。
Kiva=「合意(agreement)」(スワヒリ語)
Kivaは創業18ヶ月。以下の写真は16日付けマーキュリー紙の特集を撮ったものだが、右がジェシカ夫人と一緒にKivaを共同設立したCEOのMatt Flannery氏(29)。TiVoの元プログラマーだ。起業育成基金のしくみを撮影するためウガンダ、タンザニア、ケニアの村々を回ったときにKivaの構想を思いついた。左はPayPalで大もうけして数ヶ月遅れて参画したPremal Shah社長(31)。スタンフォード大を出てから大学の奨学金でインドに2ヶ月滞在し、マイクロファイナンスの研究を行った専門家でシリコンバレー・マイクロファイナンス・ネットワーク共同創始者である。2人ともとても、若い。
Kivaでは、これまで世界から4万人近い有志が途上国の5千人に総額330万ドルを貸付け、返済期間は平均1年、滞納率10%、返済率はなんと100%をキープしている。
グラミン銀行とどこが違う?
マイクロクレジット(信用貸付)といえば2006年ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏のグラミン銀行(Grameen Bank)が有名だけども、あちらも667万人(女性97%)に57億ドル貸し付け、5人組導入などで95%以上の高い返済率を維持している。ただ、グラミン銀行はP2Pではない。回収した資金はいったんユヌス博士の個人口座に置いて博士はその利息で暮らしているという話も聞くし、無担保融資とは言え連帯保証はとる。支店網も抱えており、取引きは銀行対個人だ。
Kivaは小口融資の提携先が世界一円に38社あり、回収の方はそちらがやってくれる。ま、結局は銀行相手だけどね。集めるところがコンピュータのせいか金利はグラミンより低い16%に押さえられている。
PayPalの決済は無料
ウェブ版マイクロファイナンスのKivaでは、PayPal(eBay傘下)の電子決済を使って誰でもお金を貸すことができる。お金は大体半年から1年で戻ってくる。貸す方には利息がつかないから利殖にはならないけど、寄附と違って貸したお金は戻ってくるのに寄附と同じ非課税というところが嬉しい(日本はどうだろう?)。電子決済にお金はかからない。そう、KivaはPayPalが決済手数料を無料にした最初の非営利団体なのだ(「戦略的フィランソロピー」というやつね)。
「でも、PayPalは日本語がなあ…」と思ったら、先ほどちゃめさんがブクマしたHit Okano's blogで「完全に日本語対応になった」ニュースを知った。PayPal日本語版はこちらから。たぶんこれでアカウント作ったら日本からでもKivaが使えるんじゃないかな?(UPDATE: Hit Okanoさん一番乗り!最初の返済通知メールが届いたようです。氏の解説はこちらです)
今ちょっと試してみたら居住国でアメリカを選んだ途端、英語にジャンプしてしまった(
貸してる相手、貸してる仲間の顔が見える
さて、Kivaのウェブに行ってみよう。トップページ。借りたい途上国の人の写真と希望金額がズラズラ並んでいる。目標額の何%が集まって残りいくらか、メーターでひと目でわかる計らい。貸したい人は候補のプロフィール(家族構成、生い立ち、周辺環境、職業、近況など)を読んで貸したい相手を決める。
希望者の写真をクリック。プロフィール全文とその人に貸してる人たちのニックネーム、写真(あれば)、所在地がズラズラ出てくる。これが結構、地域的にばらつきがあって面白い。
金額がケチなのでエンジェルってよりは応援団かな。たまたま同じ相手にお金を貸そうと決めた人たちが、ただなんとなく、そこで見守っている。
ローンは最低25ドル(2,900円)からで、みんなが出す平均は大体75ドル。夕食と映画を一回我慢したぐらいの額か。それでも束になれば結構な額になるから、その辺がマイクロファイナンシングの強みというわけね。
貸した後のことも分かる
「LEND(貸す)」タブの隣の隣「JOURNAL(日記)」タブをクリック。借りた人たちの近況報告が写真と一緒に出ている。英語はできないだろうから、ローカルの金融機関の人が拾った近況をKivaの人たちが訳してるんだろう。ここにも何ドル借りて何ドル返したか、またまたメーター表示だ!
借りたお金で何をしたか、その辺の話が興味深い。例えば3月20日はガーナのJoyce Akotoさん。
「石を砕く機械を買って子どもも学校に通わせ、意欲満々なジョイスさん」サンフランシスコの応援団ステッラさんから早速コメントがついた。
「こんにちわ、Joyce Akotoさん。事業用設備買えたんですね、良かった。それにお子様も今は学校に通われているとか。融資に加われたこと、うれしく思います。事業の成功と繁栄、ご家族の健康とご多幸をお祈り申し上げます。がんばってください。ステッラより」…日本の中高生もこういうの英語の宿題にするといいんだけどなあ。
アフター7はバレーの社交場
Kivaに無料でサービスを提供する企業はPayPalからグーグル、マイクロソフト、MySpaceまで輪が広がった。XangaのAutomatticも参加を表明中。昨年暮れにはPayPalでShah社長の元同僚だったYouTube共同設立者スティーブ・チェン氏から連絡が入って、YouTubeにバナー広告を出す話に。今やKivaのトラフィックの15%はYouTubeから来ている。ベンチャーキャピタリストも腕まくりである。UNDP元CEOビル・ドレイパー氏は設立1年半のドレイパー・リチャーズ基金(世界を変えるビジョンを持つ社会起業家に立ち上げ資金を提供)を通じてKivaに30万ドルの助成金を出した。
Kiva本部は元印刷屋のパッとしないオフィスだが、毎日仕事帰りのヤフー、グーグル、PayPalの人たちが用もないのに大勢たむろして賑わってるらしい。フルタイムは現在9人。うち1人はグーグル勤続6年の元国際部門の人だ。昨年10月、報道番組FrontlineでKivaの活動を知ったサンフランシスコ市内の不動産業ガードナーさんは既に2200ドルを72人に貸し付け、「やめられない」とマーキュリー紙に語っている。
["Spreading Silicon Valley's wealth - How Kiva is changing the world of microfinance" - Mercury News, "Revolution of Microfinance" - PBS]
***
このマイクロファイナンスについては不定期連載として自分で試してみた感じなど報告してみようと思う。サイトの翻訳もWikiのようなかたちで実現したいし。次回はサンフランシスに昨年2月創業したKivaの営利版Prosper.com(ビジネスウィークが選ぶ今年のテック・トレンドTop8)をチラッとご紹介しよう。Related:
2005年秋のローンチ段階でSeven Degreesがまとめた解説「NingよりKiva」
サンフランシスコで貸してる方のルポ→「お金貸したい人?」(イベント楽しそう!)
Update:
Oct.15.2008 -TechCrunch「貧困撲滅に一石、貧しい国の起業家にマイクロ融資してみよう」
Oct.10.2008. -Kiva3周年:Kiva Turned three!
Sep.27.2007.-[Kiva]PBSとNYT現地ルポ視聴メモ:PBS and NYT Visiting Kiva Loan Recipients
Sep.8.2007.-Kivaブーム!: Kiva.org In Shortage of Businesses in Need
このサービス、興味津々ですね。
ReplyDelete余裕ができたら、早速やってみよ~っと。
おっと、その前に PayPal アカウントですね。
翻訳でもお手伝いしたいですね。
こちらはアマチュアなのでお手柔らかに(笑)。
翻訳手伝いと聞いて、blaとbraの区別がつかないオレが来ましたよん(笑)
ReplyDeleteKivaって1年半前くらいに立ち上がって、そんとき取り上げて以来、殆どケアしてなかったんだけど、広がってたんですねえ。NingがダメになったのはKivaのせいとかいう噂も(笑)
うわ、出た! 2005年10月…早過ぎるって。わーい、link追加させていただきます。
ReplyDelete>こちらはアマチュア
なに言ってんですか!本業よりうまいじゃないですか!>ちゃめ氏
時間のある人がテキトーに訳したいとこだけ訳して保存する→間違ってたら他の人が直す→直してた人が間違ってたら別の人が…みたいなWikiで連動できたらいいんですけどね…どっかないかな。。
そういや、ずっと前、「わたし無料で日本語教えるんで、あなたの言葉、無料で教えて」という非英語圏のLanguage Exchangeやってる非営利サイト「Mulilingual Network」をなんとなく見っけて、暇なときイタリア語に訳したげたことがあるんですけど、今見てみたら海外からの寄附を外貨で受け付けるところでイロイロ苦労されてる…。海またぐと寄附もらう方も大変だわ。PayPalが多言語対応になったら苦労半減かな?
自分のブログで以前のエントリーを紹介させていただいたんですが、トラックバックができないようなのでここでコメントさせていただきますね。いつも楽しく読ませていただいています。これ、いい取り組みですねー!ただ寄付するより、お金の使い道とかが目に見えてしかも返ってくるって素敵。ちょっと私もやってみようと思います。
ReplyDeletePaypalは少し前までアメリカの銀行アカウントを持っていないといろいろ制約があったはず(払うことはできても、お金を受け取れない、とか)ですが最近どうなのでしょうね。
>払うことはできても、お金を受け取れない
ReplyDelete笑
ここのTBアホなので、こうしてコメントで残していただけるととても助かります。今、AAAナンパ事件のエントリ(違うって)、AOL解約の悪夢にLINK追加させていただきました、ありがとうございます。
lat37nさんブログ、なんかもう読みたいエントリが多すぎて。改めて貪り読みに伺わせていただくことにします!
Kiva doesn't mean unity in kiswahili,
ReplyDeleteit might mean an agreement
'Umoja' is unity in kiswahili.
Oh, thanks! I made a correction. I'm sorry but it was a widely publicized translation here in the US, it's my fault quoing it without cross-checking.
ReplyDeleteHere, I'm introducing how Kiva works for Japanese readers, trying to find out if they can transfer money from/to Japan using PayPal (it's been fully localized into Japanese this month).
If they can, it means Kiva's contents are worth translating. So I wanna see what I can do... like asking somebody to create WIKI based translation services where anybody can translate any part in any time, and if there's some mistranslation, you know, somebody else could correct...
Are you from Kenya? Thank you for comment:)
ここにkivaを始めたマット・フラナリー氏とプレマル・シャー氏のインタビューが載ってますね。
ReplyDeleteKivaの日本語解説サイトがあるみたいです。
ReplyDeletehttp://kivajapan.web.fc2.com
お~、お金の振り込み方が分かって便利ですね:)
ReplyDeleteあと、海外サイトのインターフェイスを日本語化する「Japanize」というツールも確か、KIVAが対応サイトに入ってたと思います。
現在でもまだ返済率は100%をキープしているのでしょうか??
ReplyDeleteまたそのデータはどこで知る事が出来ますか??
教えてください。宜しくお願いします。
今は97.88%ですよん。Kivaのプレスルームに現況出てます。融資はハロウィーンに$100Mの大台突破しましたよ。
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