LG15's story reminded me of James Frey. What happened to him after that?
Random House Inc. settled lawsuit over his controversial memoir “A Million Little Pieces," by offering a full refund to all customers who purchased the book on and before Jan. 26. Lawyers for 10 of the 12 representatives for the class action suits accepted terms of the settlement, which set the maximum amount to $2.35 million including the refund to consumers, plaintiffs' lawyers' fees and donation to charity.
To receive refunds -- $23.95 for the hardcover, $14.95 for paperback -- consumers will have to submit a receipt or some other proof of purchase: for the hardcover, page 163; for the paperback, the front cover. They will also need to sign a sworn statement that they bought the book because they believed it was a memoir. (AP)
They were sued for "Consumer fraud" and "lost-time," though neither of them admitted any wrongdoing for these accounts.
It's also noteworthy that Frey originally tried to sell the book as a fiction novel but the book was turned down by 17 publishers, and a February 2003 New York Observer story by Joe Hagan reported that Frey tried to sell it as a fiction to Nan Talese's Doubleday imprint one last time, but the imprint "declined to publish it as such."(wikipedia) If that's the case, Frey was coerced by the publisher and its sales pitch into becoming a big lier.
It's quite interesting how 'truthiness' (as NY Times columnist mentioned) builds up by itself from a certain point. Whose quote is this?: "Comment is free, but facts are sacred" ... Oh, yes, yes, Guardian's C.P.Scott.
The Smoking Gun - A Million Little Lies
Barns & Noble -"pre-Oprah" Interview
Oprah's full-coverage
(photo courtesy of CNN.com)
Lonelygirl15(続報)で思い出したのがジェームズ・フライ。
昨年の全米売上げNo.1のノンフィクション「A Million Little Pieces」の著者で、一部創作だったことが暴露され、実話と信じて涙ながらに絶賛してベストセラー化に一役買った米TV界の重鎮オプラ・ウィンフリーの顔に泥を塗った人物だ。覚えているだろうか? (詳細、書評)
あの後どうなったかな?と気になって調べてみたら、1月26日オプラーの番組で版元ダブルデイの親会社ランダムハウスと共に改ざんの事実を認め(写真上)、本には謝罪文を掲載。イリノイやカリフォルニアなど各地で起こった集団訴訟は、この本を買った全員に全額払い戻すことで原告12人のうち10人と今月和解が成立していた。払戻金は訴訟費用、慈善団体への寄附金込みで上限235万ドル(2億7,366万円)。
「金返せ」と叫びたくなる本は世に五万とあるが本当に返すのは極めて異例。気になるのは訴状の中身だが、「Memoire(回想録、実録、自叙伝)」と言えば名誉毀損、プライバシー侵害と相場が決まっている。言った言わないの認識のズレ、記憶違い、書いた本人も知らない裏事情なんかは字にして初めて分かることも多いからね。ただ本書の場合、登場人物そのものが架空の人物だったり、警察との殴り合いも創作なら犯罪歴も大部分が創作、5時間足らず署にいただけなのに刑期3ヶ月と偽り、果ては刑務所で古典を読み聞かせた"仲間"を第2作 My Friend Leonardの主人公に仕立てるなど、創作の規模こそ派手だが「誰の名誉も秘密も侵していない」、つまり「被害者(原告)はいない=起訴は成立しない」という部分がネックだった。
仮に作り話であっても彼がアル中、ヤク中だったことは事実だし、それで多くの中毒患者と家族に希望を与えたんだから結果オーライ、見逃してやれ、という同情派もいたが、やはり作り話を実話と喧伝したらそれは「消費者詐欺」なのである(これが罪状ね)。シアトルの原告に至っては「無駄にした時間(Time-Loss)を返せ」と版元を訴えた。
こうした起訴事実は出版社も著者も否認しているし、払い戻しは飽くまでも係争が長引くことで生じる影響を配慮した妥協案だという点に留意したい。
消費者詐欺で実録が訴えられるケースは前例がない。米出版社協会法務担当VPのアラン・アドラー氏は、「弁護士は大半の人が法的立証は難しいと見ていたが、和解は賢い判断」と評価した。(AP)
払い戻しの対象となるのは1月26日以前に本を買った全員。ハードカバー($23.95)、ペーパーバック($14.95)の領収書か、無ければハードカバーならp.163、単行本なら表紙を破って持参する。そしてここが肝心なんだけども返金に際しては「実話と信じたからこの本を買いました」という証言にサインしなくてはならない。いや、本当。
「ア・ミリオン・リトル・ピーシーズ」って?
ベストセラー製造マシン「オプラのブッククラブ」が昨秋おすすめ本として紹介した"ノンフィクション"作品。アルコールとドラッグ、犯罪漬けの地獄の日々からの再生を綴った感動の"実話"として大々的に売り出し、2003年初版から売上げ350万部を超えるミリオンセラーとなった。
その記述については早くから疑問の声が沸き起こっていた。例えば嘔吐物と尿と血まみれで機内で意識を取り戻す冒頭シーンは航空関係者から「そんな状態で飛行機には乗れないよ」との声が。スター・トリビューン紙ライバック記者は麻酔無しで根幹治療を行う場面、機内の出血シーン、オハイオの刑務所から保釈されてすぐセーヌ河に身投げしようとする途中、教会で乱闘になる部分など怪しい点を事細かに追求していた。
今年1月にはウェブ媒体「The Smoking Gun」が関係者を片っ端から取材してまとめた渾身の告発記事"A Million Little Lies"を発表、著名弁護士を雇って「名誉毀損で訴える」と強気だったフライ氏もこれで降参した。
オプラ女史が疑惑浮上後も「真実であることに変わりはない」と一時論戦を張ろうとした点を問題視する声もあったが、あそこまで持ち上げてしまったら、彼女のように次期大統領の呼び声も高く出版界に絶大な影響力を持つ人なら尚のこと簡単には引けないだろう。同じ番組の中で出版社と著者に白状させ、報道関係者と問題点を整理した部分は評価したい(まとめはココ)。
あと1つ。フライ氏は最初、ナン・タレーズ女史の版元ダブルデイに”フィクション”として原稿を持ち込んだんだけども「このままでは出版化はムリ」と付き返されたという報道を見落としてはならない(2003年2月、NYオブザーバー紙)。氏はそれまでにも他の出版社を回ってフィクション小説として同著を売り込んでいたのだが17回断られていた。もしこの報道が事実なら責めを負うべき相手は誰なのか?
Truthiness(事実であって欲しいと多くの人が願う創作)というのは、ある時点を過ぎると勝手に一人歩きしてしまうものらしい。最後には言い出した本人さえ呑み込んで。超売れっ子作家として人生を語る彼のインタビュー(発覚前)はこちら。
Tags; James Frey, A Million Little Pieces
Random House Inc. settled lawsuit over his controversial memoir “A Million Little Pieces," by offering a full refund to all customers who purchased the book on and before Jan. 26. Lawyers for 10 of the 12 representatives for the class action suits accepted terms of the settlement, which set the maximum amount to $2.35 million including the refund to consumers, plaintiffs' lawyers' fees and donation to charity.
To receive refunds -- $23.95 for the hardcover, $14.95 for paperback -- consumers will have to submit a receipt or some other proof of purchase: for the hardcover, page 163; for the paperback, the front cover. They will also need to sign a sworn statement that they bought the book because they believed it was a memoir. (AP)
They were sued for "Consumer fraud" and "lost-time," though neither of them admitted any wrongdoing for these accounts.
It's also noteworthy that Frey originally tried to sell the book as a fiction novel but the book was turned down by 17 publishers, and a February 2003 New York Observer story by Joe Hagan reported that Frey tried to sell it as a fiction to Nan Talese's Doubleday imprint one last time, but the imprint "declined to publish it as such."(wikipedia) If that's the case, Frey was coerced by the publisher and its sales pitch into becoming a big lier.
It's quite interesting how 'truthiness' (as NY Times columnist mentioned) builds up by itself from a certain point. Whose quote is this?: "Comment is free, but facts are sacred" ... Oh, yes, yes, Guardian's C.P.Scott.
"The truth is all that matters."
—A Million Little Pieces
Related:—A Million Little Pieces
The Smoking Gun - A Million Little Lies
Barns & Noble -"pre-Oprah" Interview
Oprah's full-coverage
(photo courtesy of CNN.com)
Lonelygirl15(続報)で思い出したのがジェームズ・フライ。
昨年の全米売上げNo.1のノンフィクション「A Million Little Pieces」の著者で、一部創作だったことが暴露され、実話と信じて涙ながらに絶賛してベストセラー化に一役買った米TV界の重鎮オプラ・ウィンフリーの顔に泥を塗った人物だ。覚えているだろうか? (詳細、書評)
あの後どうなったかな?と気になって調べてみたら、1月26日オプラーの番組で版元ダブルデイの親会社ランダムハウスと共に改ざんの事実を認め(写真上)、本には謝罪文を掲載。イリノイやカリフォルニアなど各地で起こった集団訴訟は、この本を買った全員に全額払い戻すことで原告12人のうち10人と今月和解が成立していた。払戻金は訴訟費用、慈善団体への寄附金込みで上限235万ドル(2億7,366万円)。
「金返せ」と叫びたくなる本は世に五万とあるが本当に返すのは極めて異例。気になるのは訴状の中身だが、「Memoire(回想録、実録、自叙伝)」と言えば名誉毀損、プライバシー侵害と相場が決まっている。言った言わないの認識のズレ、記憶違い、書いた本人も知らない裏事情なんかは字にして初めて分かることも多いからね。ただ本書の場合、登場人物そのものが架空の人物だったり、警察との殴り合いも創作なら犯罪歴も大部分が創作、5時間足らず署にいただけなのに刑期3ヶ月と偽り、果ては刑務所で古典を読み聞かせた"仲間"を第2作 My Friend Leonardの主人公に仕立てるなど、創作の規模こそ派手だが「誰の名誉も秘密も侵していない」、つまり「被害者(原告)はいない=起訴は成立しない」という部分がネックだった。
仮に作り話であっても彼がアル中、ヤク中だったことは事実だし、それで多くの中毒患者と家族に希望を与えたんだから結果オーライ、見逃してやれ、という同情派もいたが、やはり作り話を実話と喧伝したらそれは「消費者詐欺」なのである(これが罪状ね)。シアトルの原告に至っては「無駄にした時間(Time-Loss)を返せ」と版元を訴えた。
こうした起訴事実は出版社も著者も否認しているし、払い戻しは飽くまでも係争が長引くことで生じる影響を配慮した妥協案だという点に留意したい。
消費者詐欺で実録が訴えられるケースは前例がない。米出版社協会法務担当VPのアラン・アドラー氏は、「弁護士は大半の人が法的立証は難しいと見ていたが、和解は賢い判断」と評価した。(AP)
払い戻しの対象となるのは1月26日以前に本を買った全員。ハードカバー($23.95)、ペーパーバック($14.95)の領収書か、無ければハードカバーならp.163、単行本なら表紙を破って持参する。そしてここが肝心なんだけども返金に際しては「実話と信じたからこの本を買いました」という証言にサインしなくてはならない。いや、本当。
「ア・ミリオン・リトル・ピーシーズ」って?
ベストセラー製造マシン「オプラのブッククラブ」が昨秋おすすめ本として紹介した"ノンフィクション"作品。アルコールとドラッグ、犯罪漬けの地獄の日々からの再生を綴った感動の"実話"として大々的に売り出し、2003年初版から売上げ350万部を超えるミリオンセラーとなった。
その記述については早くから疑問の声が沸き起こっていた。例えば嘔吐物と尿と血まみれで機内で意識を取り戻す冒頭シーンは航空関係者から「そんな状態で飛行機には乗れないよ」との声が。スター・トリビューン紙ライバック記者は麻酔無しで根幹治療を行う場面、機内の出血シーン、オハイオの刑務所から保釈されてすぐセーヌ河に身投げしようとする途中、教会で乱闘になる部分など怪しい点を事細かに追求していた。
今年1月にはウェブ媒体「The Smoking Gun」が関係者を片っ端から取材してまとめた渾身の告発記事"A Million Little Lies"を発表、著名弁護士を雇って「名誉毀損で訴える」と強気だったフライ氏もこれで降参した。
オプラ女史が疑惑浮上後も「真実であることに変わりはない」と一時論戦を張ろうとした点を問題視する声もあったが、あそこまで持ち上げてしまったら、彼女のように次期大統領の呼び声も高く出版界に絶大な影響力を持つ人なら尚のこと簡単には引けないだろう。同じ番組の中で出版社と著者に白状させ、報道関係者と問題点を整理した部分は評価したい(まとめはココ)。
あと1つ。フライ氏は最初、ナン・タレーズ女史の版元ダブルデイに”フィクション”として原稿を持ち込んだんだけども「このままでは出版化はムリ」と付き返されたという報道を見落としてはならない(2003年2月、NYオブザーバー紙)。氏はそれまでにも他の出版社を回ってフィクション小説として同著を売り込んでいたのだが17回断られていた。もしこの報道が事実なら責めを負うべき相手は誰なのか?
Truthiness(事実であって欲しいと多くの人が願う創作)というのは、ある時点を過ぎると勝手に一人歩きしてしまうものらしい。最後には言い出した本人さえ呑み込んで。超売れっ子作家として人生を語る彼のインタビュー(発覚前)はこちら。
Tags; James Frey, A Million Little Pieces
創作を実話と言うのは、仰るとおり詐欺ですね。
ReplyDelete日本にも、『電〇男』というのがありますが、アレはどうなのでしょう?
>5時間足らず署にいただけなのに刑期3ヶ月と偽り、…
おーっ、これなら私も刑期1ヶ月ぐらいにはなるのかな(笑)。
オプラさんって、有名なんですね。
私は半年ほど前まで知りませんでした(井の中の蛙)。
>『電〇男』
ReplyDelete印税が発生するところにだけ何故か現れるサンタ。笑
>これなら私も刑期1ヶ月ぐらいには
何やったんですかー?
>オプラ
「オプラに大統領やらせろ~」って一人で勝手に選挙運動してオプラの弁護士に停止勧告受けてる名物オヤジ(元高校教師)がいます。
オプラの伝記は学校や町の図書館に行くと必ずといっていいほどありますよ。小さな頃から性的虐待を受けて育った地獄のような生い立ちが、子ども用の文章で記されている。そういう境遇の子どもたちにとって彼女は希望なんです。ちょっと今の彼女からは想像がつかないんだけどもね。
だから、フライの本に見事に騙された、涙したことで彼女を責めるのは酷なんです。
オプラさんてそんな過去があったのですか?
ReplyDelete日本でも伝記がないか探してみましょう。
私は何もしてませんよー。
お友達のかわいい粗相で、関係者として取調室にちょこっと入っただけです。
その時に、マル暴の刑事さんに「にいちゃん、ええ体しとるな」と勧誘されたのですが、謝辞致しました(笑)。