『Where The Streets Have No Name』(対訳)
I want to run I want to hide I want to tear down the walls That hold me inside I want to reach out And touch the flame Where the streets have no name I want to feel sunlight on my face I see the dust cloud disappear Without a trace I want to take shelter from the poison rain Where the streets have no name We're still building Then burning down love Burning down love And when I go there I go there with you It's all I can do The city's a flood And our love turns to rust We're beaten and blown by the wind Trampled in dust I'll show you a place High on a desert plain Where the streets have no name We're still building Then burning down love Burning down love And when I go there I go there with you It's all I can do Our love turns to rust We're beaten and blown by the wind Blown by the wind Oh, and I see love See our love turn to rust We're beaten and blown by the wind Blown by the wind Oh, when I go there I go there with you It's all I can do | 走りたい 隠れたい ぶっ壊してやりたい 自分閉じ込めるこの壁を 手を伸ばして あの炎に触れたいのさ 通りに名前もないその場所で 降り注ぐ太陽の光を頬で感じたい ダストの噴煙が消えていく 跡形もなく 毒の雨からシェルターに避難したい 通りに名前もないその場所で 僕らは相変わらず築いては 愛を全部焼き払ってしまう* 愛を全部焼き払ってしまう でもあの場所に行くときは 君も一緒に連れていく それが僕にできるすべて 町は洪水にのまれて 愛は錆に変わる 僕らは打ちひしがれて風に吹かれて 踏みにじられて泥まみれ きっと君に見せてあげるよ 広い砂漠の荒野を見下ろす高台にある 通りに名前もないその場所を 僕らは相変わらず築いては 愛を全部焼き払ってしまう 愛を全部焼き払ってしまう でもあの場所に行くときは 君も一緒に連れていく それが僕にできるすべて 愛が錆に変わる みんな打ちひしがれて風に吹かれて 風に吹っ飛ばされてる ああ、愛が見えるよ 錆に変わっていく僕らの愛が 僕らは打ちひしがれて風に吹かれて 風に吹っ飛ばされてる ああ、でもあの場所に行くなら 君も一緒に連れていくよ それが僕にできるすべて |
I was just trying to sketch a location, maybe a spiritual location, maybe a romantic location. I was trying to sketch a feeling. I often feel very claustrophobic in a city, a feeling of wanting to break out of that city and a feeling of wanting to go somewhere where the values of the city and the values of our society don't hold you down.
An interesting story that someone told me once is that in Belfast, by what street someone lives on you can tell not only their religion but tell how much money they're making - literally by which side of the road they live on, because the further up the hill the more expensive the houses become. That said something to me, and so I started writing about a place where the streets have no name.
僕がやろうとしたのは単にある場所のスケッチ。それはスピリチュアルな場所かもしれないし、恋愛の場所かもしれない。僕はフィーリングをスケッチしたかった。よく街にいるとすごい閉所恐怖症になって、この町から逃げ出して、どっか街の価値観、社会の価値観に縛られない場所に行きたいって気持ちになるんだけど、あれを歌ったんだ。
一度誰かがこんな面白い話を教えてくれた。ベルファスト(北アイルランドの首都)ではある人がどの通りに住んでるかで、その人の宗教だけじゃなく稼ぎまで分かるっていうんだよね。丘の上に行けば行くほど家は高くなるから、文字通り道のどっち側に住んでるかで分かるって。その話が心に引っかかって、通りに名前がひとつもついてない場所の曲を書き始めたんだ。
- Bono, Propaganda 5, 1987, via Bertrand, Paris (Song Facts)
「通りに名前がない場所」はどこなのか?
「Where The Streets Have No Name」は、米英最速ベストセラーアルバム「The Joshua Tree」の第1収録曲で、ライブでおなじみの定番曲である。昨日久しぶりに聴いて急に意味が気になって調べてみた。(以下、Song Factsより)
プロデュースを担当したブライアン・イーノは「アルバム制作の4割以上の労力はこの曲のレコーディングにとられた」と言っている。あまりにもリズムのアレンジが複雑過ぎるため、共同プロデューサのDaniel Lanoisが変更点を「理科の先生みたいに」黒板に書いてメンバーに説明しなければならなかった。イライラしたイーノは何度も助手に「テープぶっ壊して別の曲でやり直しだ」と指示したが、助手が無視し続けたお陰でボツとならず、世に出た名曲。
「ボノがLive Aidツアーで訪れたエチオピア(通りに名前がない)を歌った曲」と言う人も多いけど、上のインタビューでボノ(アイルランド人)が話してるように直接のきっかけはアイルランドらしい。アイルランド(北アイルランド)は金持ちと貧乏人、カトリックとプロテスタントで居住区がきっぱり分かれてる町が多く、どの通りに住んでるか訊くだけで宗教・収入・信条までわかってしまう。そういう属性に支配されない自由な世界を歌った。
イメージとしては、このPVで撮った荒野なのかな。
解釈集(参考:Song Facts)
1. エルサレム/Jerusalemベルファストで数年前ちょっと働いたけど、「どの通りにお住まいですか?」は初対面の最初の挨拶として有名だった。どの通りに住んでいるかで、カトリックかプロテスタントかわかるからね。「high on a desert plain」はやっぱりエルサレムでしょ。あの古の都の中心部にある曲がりくねった道には、名前がない。
2. 天国/Heaven
これは天国を歌った曲。クリスチャンの自分たちには、そうとしか聴こえない。聴く人によって、いろんな解釈があっていいと思うけど、火曜、U2のコンサートに行ったら、ボノが「俺は行くよ、みんなも行くでしょ?」って言って、最高だった。
3. 兵士/Soldier
アイルランド旅行中、ツアーガイドがU2かけて、この曲が流れました。U2の中でも好きな曲だと言ったら、曲の始まりの楽器はヘリコプターで、これは戦地の男を歌った曲だって彼は言ってましたよ。どっか人里離れた「通りに名まえもない」村で娘と恋に落ち、そのうち軍隊はそこを離れてしまったのだけど、彼女の元に帰りたくてしょうがない、そんな一途な男心を歌った曲なんだそうです。いいな、と思いましたw
4. 告白できない男/Guy who can't say 'I love you.'
歌詞意識せずに1億回聴いた曲だけど、今日お店で流れたら何故か急にひと言ひと言の意味がストンと分かってしまいました。歌詞の意味は聴く人が好きに解釈すればいい、って意見に賛成ですけど、曲つくった人はきっとこれ書いた時に何か具体的なものが心にあったと思うのね、ちょうど今の私の心境ではこうとしか思えないのと同じで。―この彼は好きな子がいるのに、どう告白していいかわからない人です。「愛を築いては、焼き払ってしまう」…つまり何度も心の中で好きだと言いたいと思ってるのに、フラれるに決まってると言う自分の心の壁の中に閉じ込められて、言わない。本当は「high on a desert plain」に行きたい…今のマンネリの轍を抜けて、もう一段階高いところに行きたい、好きな子を連れて。そのためにもまずは告白、告白。それ以外に彼にできることはないんです。
5. アイルランド/Ireland
アイルランドのことだ、絶対間違いない。僕が住んでる地元の町でも、こういう偏見とスノッブ気取りは毎日目にする。ダブリンとかベルファストだけじゃないよ。ボノはこれ、ライブでものすごい気持ち込めて歌うんだ。ジーニアス!
6. ニューメキシコ/New Mexico
クリスチャンは天国と思うだろうし、アイルランドの人(特にU2)はダブリンって思うんだろうけど、自分はずっとニューメキシコの歌だと思ってた。ニューメキシコいつも車で通るたびに、名もない道がいろいろ砂漠にあるの見てるからね。U2は4人のうち3人がキリスト教だけど、だからって彼らの歌がぜんぶ神、キリスト、天国を歌った歌とは限らない。そう思うのはあなたがそう見てるからであって、それは構わないのだけど、みんなにそうだと言って回るのはやめて欲しい。特にボノ自身がそうじゃないって言ってるのに。
Josua Tree, album cover |
ベルファストの歌かもしれないけど、アルバムタイトルのヨシュアツリーは私が住んでるロサンゼルス・カウンティ北部のモハベ砂漠を連想させます。「high on the desert plain」で、「dust clouds disappear without a trace」するの毎日見てるし、ヨシュアツリーが生えてて、道には名前がありません。新開発の住宅地は別として、南北はアルファベット、東西は数字で道を区別してるんですよ。ロス郊外にこんな田舎があるなんて信じられないかもしれないけど、ほんとにほんと。土を踏み固めただけでどこにも通じない道とか沢山あるんです。
8. ニューメキシコ州ロスアラモス/Los Alamos, NM
違うよ、これは(広島長崎の原爆を開発した研究所のある)ロスアラモス。戦中、原子力爆弾を開発したときスパイにわかりづらいよう、あそこは道標をすべて撤去したんだ。ベルファストは「砂漠のど真ん中」にないが、ロスアラモスはあるだろ。「走りたい、隠れたい、ダストの噴煙が跡形もなく消えていく、この毒の雨からシェルターに逃げ込みたいんだ、みんな打ちひしがれて風に吹っ飛ばされてる」―全部核爆発のことさ。「今も築いてる」のはたぶん核兵器を未だに造ってるって意味で、「そこに行く時は君も一緒。それぐらいしかできない」ってのは反対運動が実るってことかな。
9. アイルランド/Ireland
アイルランド住んでる時、私はサウスサイダー(南側の住民)だからって人に見下されていました。南側は階級が低いって意味ですから(←実際はノースサイダーが低所得層の住区だそうです。コメント参照。記憶違いか書き間違いっぽい)。一度、父と一緒にバスに座ってたら隣の男が「おたくはノースサイダーですか? それともサウスサイダー?」って訊いてきたんです。パパは真っ直ぐ彼の目を見て言いました。「サウスサイダーだけど自分はそれを誇りに思ってるよ!」。 この歌聴くたびにあの時のことを思い出します。いつか人が差に囚われなくなる日が来るのかな、って思わせる曲です。
U2 Halftime show performance at Super bowl XXXVI - February 3, 2002, after 9/11
[Song Facts]
元ダブリン在住です。
ReplyDelete9. アイルランド/Ireland
の発言だけれども、ダブリンでは長いこと伝統的にSouthsiderが金持ち・中流階級(東京で言う山の手)でNorthsiderが労働者階級(東京の下町とか)の地域ですよ。なので意味が通りません。ひょっとして訳か解釈があべこべになっていませんか?
もちろん北にも一部豊かな地域や南(特に南西)に貧しい地域はありますが、基本的に南がposhって固定観念は南北両方の人間にあります。ただし現在では差別とかそんな深刻なものではなくて今ではお互いに冗談として自虐的にジョークで「僕はSouthsiderだから(poshで鼻持ちならないんだ)」などというように使われています。
あ、記憶が曖昧なのかも、、注記入れときます、ありがとうございます!!
ReplyDelete