沢木耕太郎『チェーン・スモーキング』:"Chain-smoking" by Kotaro Sawaki

 
Marilyn Monroe and Truman Capote
(from Capote's "Music for Chameleons")

This week, I read Kotaro Sawaki's essay collection 'Chain-smoking' published in 1990. In the postnote, he reveals he doesn't smoke. He simply likes the term 'chain,' and for this work he intended to write a world where seemingly unrelated stories are in fact correlated each other. I really like the notion. (Do you know any books or films based on the same idea?)

On p.115, there's an excerpt from 'Music for Chameleons" (1980) by Truman Capote; 'A Beautiful Child.' Monroe and Capote meet up at funeral and spend the whole day hanging out, seeing a psychic, drinking champagne in Chinese bar, walking down by the docks in New York.  You can read the full script here.


ここでチラッと名前が出た沢木耕太郎の『チェーン・スモーキング』を読んだ。

「チェーン・スモーカー? イメージ違うなあ…」と、ヤードセールでクォーター玉1枚はたいて買った本だ。エッセイ丸1冊読み通すことは普段あまりないんだけど、「これとこれを持ってくるんかい」という意外性で最後まで面白く読めた。あとがきで「私は煙草をすわない」とあって、「ぐわ、クオーター玉返せ!」と思ったが、後の祭りである。

そこに「断片が連鎖しながらひとつの世界をかたちづくるような文章を書こうと思った」とある。私も常々そういう小説・映画世界にどっぷり漬かってみたいと飢えているんだけど、なんかオススメないでしょか?

写真は本書p.115に出てくる『カメレオンのための音楽』収録の短編『A Beautiful Child』に出てくるマリリン・モンローとトルーマン・カポーティね。原作の会話はここ。カポーティは人生の転機となった『ティファニーで朝食を』映画化の折、自分と生い立ちと境遇の似たモンローを主役に抜擢するよう切望したという。それが通ってたら今頃どんな映画になっていたんだろう?

[そのほか印象に残った部分]
・恐ろしく記憶力の良いタクシードライバー
・盤面に多いかぶさるようにして読みを続ける中原(第31期名人戦)
・円地文子の小林秀雄観
・公衆電話のローテーション
・Dump St.を訳しあぐねて「ションベン横丁」とやりかける
・三浦和義の「消えた言葉」
・「教養のためしてはならない百箇条」
・『人間の条件』の饅頭、あるいは懐中時計
・夕陽を貪る老女

一番好きなところは、円地文子をおんぶしようと張り切る沢木耕太郎。最後のTシャツは若い頃の物差しや放浪のイメージに拘らず、欲しいがままに買っておく潔さも、あっていいかな、と思った。場所を刻むのではなく、時間を刻むという意味において。

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