The TechCrunch Japan's colleague, Nob Takahashi, just finished his first translation work; Subject To Change -Japanese Edition. Neatly done, Congrats!
TechCrunch日本語版のnobさん=高橋信夫氏の訳本が届いた!
タイトルは『SUBJECT TO CHANGE』。サンフランシスコのプロダクトデザイン会社「Adaptive Path」の共同創設者ピーター・マーホールズ氏ら4人が共同執筆した本である。Ajaxの名付け親の共同創設者ジェシ・ジェイムズ・ギャレット(Mozillaと共同開発のAuroraで記事になった)が序文に;
未来はますます、予告なく変更される(Subject to Change)ようになると寄せたように、タイトルは「変更あり」の意の警告文句。スチュワート・ブランドが著『How Buildings Learn』に記した言葉「あらゆる建物は予言であり、予言はすべて間違っている」(本書p.90)にも通じる、予測不能な未来をあらわしている。
技術も情報もおなか一杯な時代、機能をどっと盛り込んでも人は戸惑うだけ。人が本当に求めているものを使う人の「感情・文化・意義・文脈」(第3章)で酌み、モノ単体ではなくシステムで考えるデザインが求められている。デザインはもはやデザイナーだけの仕事ではない。「戦略、システム、デザイン」が3位一体の、組織としての取り組みが必要になる、というお話。
成功例はiTunesやコダック、P&G、スタバ、Tivo、Netflix、ダイソン掃除機、ターゲットの薬瓶、Flickrなどで、失敗例はセグウェイ、台所のネット家電、モバイルESPN、匿名クライアント各社など。でも、同じアップルでもG4 CubeはMOMAに陳列されるほど美術価値の高い製品ながら「失敗例」だ。つまりここで言う「デザイン」は意匠ってよりは設計・開発・構想に近い。どっちかって言うとビジネス書か?
顧客体験といえば先日、1983年のfrog designのアップルの話でこんな一節があった。;
「アップルはコップについて考えるだけじゃなく、喉の乾き(thirst)そのものの性質を考える」昔からある発想なんだろうけど最近この欲求(desire)を突き詰めたいという欲求が企業の側にも広まってるようで、FBIのプロファイラーじゃないけども、ユーザや顧客の自宅・職場(フィールド)に出向いて24時間密着して、その生活感情・文化・文脈を徹底的に洗い出す「エスノグラファー(民族誌学者)」なる仕事師も登場した(p.59)。これはもう美大や工学系の仕事じゃなくて、文化人類学の領域だという。おもしろい(エスノグラフィの解説)。
終盤は変化に即応するアジャイルの心得・実践のコツ。ザッとそんな構成だ。私はデザインは門外漢だけど、瓢箪から駒でGizmodoの方向性考えるヒントに大いになってしまった。こんな絶妙なタイミングで送って下さったオライリー・ジャパンさんとnobさんに感謝!
訳文はnobさんらしいキチッとした文章で安心して読めました。タイポはp.57の「定性調査(quantitative)」がqualitativeかな?というのと、あと1ヶ所ひらがなの抜けがあった程度(敢えて心を鬼に…^^;)。でもこの長さでこれっぽちなんて毎日タイポ連発の私から見たら人間じゃない集中力だ。おめでとうございます!
(おまけ)本書の共著者Brandon Schauer氏とDavid Verba氏の2人がグーグル本社で本に書いた内容をレクした時の動画;
Amazon.com: Subject To Change
Amazon.co.jp: Subject To Change -予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る
satomiさん、ありがとうっ!
ReplyDeleteタイポ報告も本当に感謝。おかげさまで増刷が決まったので修正しておきます。
>増刷
ReplyDeleteすごい!
アマゾンの書評でNetflixが「?」という方がおられたので、昔の解説を。 社長が延滞料にムカっときて始めた超・体験ベースの会社ですよね。w
TiVoは特許&独占も限界? そろそろ会員離れが起きてますが。
ダイソンのプロトタイプ5127回というのは驚きました(p.121)。CrunchGearの本社訪問の動画を何故かギズで紹介したんですけど、あれなんてほんの一端ですね。
デヴィッド・パッカードに開発中止命じられたのに根性で注文取ってしまったエンジニア、チャック・ハウス氏(p.145)はこんなところにいます。本書いてるみたい。ww