エジプト考古学博物館略奪は内部の犯行―前館長が独紙に語る:Former Egyptian Museum Dir Says Looting Inside Job

A former director of the Museum of Egyptian Antiquities, Wafaa el-Saddik, told the German weekly paper Die Zeit that museum guards and policemen were partly responsible for the looting.  Also, she confirmed that the Memphis Museum has been completely looted.


デモ中にエジプト考古学博物館が略奪され、ミイラ2体の首がもげ、ツタンカーメンの豹の像など80点が壊された件で、ここの館長を1ヶ月前まで務めていたWafaa el-Saddikエジプト国文化省大臣がドイツの週刊紙Die Zeitに30日、「あれは薄給にあえぐ博物館の警備員の犯行です」と語った。


Art theft in Egypt: "Those were our own people" -Die Zeit


(訳)

- エジプト博物館が金曜(28日)夕方荒らされました。具体的に何が起こった?

El-Saddik:状況はまだはっきり掴めていません。投棄・破壊されたものの破片が床に沢山散らばってました。中にはツタンカーメンの宝物も混じっています。割られたケースは計13個。現在までにファラオの装身具が盗まれたことも分かっています。増築し昨年11月オープンしたばかりの大型ギフトショップの中身も全部盗まれました。

- 誰の犯行?

El-Saddik:博物館警備員、我々部内の者たちです。制服を脱いで一般の人と見分けがつかなくなった警察官も一部います。次に略奪者の第2グループが、裏手の火災避難用非常口からスカイライト(天窓)を通って侵入しました。略奪は全て1階、ツタンカーメンの宝物のある階で起こりました。

- エジプト国内の他の博物館もやられた?

El-Saddik: メンフィス博物館およびその保管庫は土曜朝、全部盗まれました。現地のリーダーらから私のもとに絶望的な声で電話が入り、「助けてくれ、なんとかしてくれ」とすがってきました。何はともあれ警察に電話をかけたのですが、誰も出ません。そこで知り合いの陸軍大将に警告したのですが、もう手遅れでした。ルクソールとアスワンの博物館にも電話で確認しましたが、あちらは別段異常なしです。最大の問題はそもそも博物館の警備が手薄なこと。カイロのエジプト博物館はじめエジプト国内全博物館の待遇改善については私も何年も前からか働きかけてきたのですが、うまくいってないのが現状です。

- カイロのエジプト考古学博物館ではデモの市民たちが直ちに腕を組んで警護に当たりましたよね。



El-Saddik: (すぐ隣の)タハリール広場の民衆が異変に気づき、現場の状況は一変しました。でも略奪者は建物の中。デモ市民に捕まった犯人もいましたが、他は逃げてしまいました。幸いタハリール広場には金曜夕方から軍が配備されていたので、軍が現場に急行し、その後は博物館も厳重な警備体制を敷いています。[...]

- 我々の世界遺産の中でも最も価値の高い遺産を護るのが仕事の警備員、その警備員が何故やったとお考えなのですか?

El-Saddik: 薄給なんです。警備員の月給は約250エジプトポンド(3493円)。警備員約160人に加え、警察官も数十人かいるのですが、警察官と言っても徴集兵に警官の制服着せてるだけですし、彼らの方の給料はさらに低いんですよ…。


[Zeit via hyperallergic@bozenkun]

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