駐米中国大使館の公電がリークしたらこんな内容?:What China may be saying about America - NYT

Thought-provoking, fun-to-read column. From Tom Friedman's "What China may be saying about America,"  a fictional rendition of a Chinese Washington embassy cable leaked by WikiLeaks;

Finally, record numbers of U.S. high school students are now studying Chinese, which should guarantee us a steady supply of cheap labor that speaks our language here, as we use our $2.3 trillion in reserves to quietly buy up U.S. factories.

「ウィキリークスが駐米中国大使館の公電をリークしたら大体こんな感じだろう」と、NYタイムズ紙トム・フリードマン論説委員が中国の外交官になり切って書いた公電が笑えた。


What China may be saying about America


by Tom Friedman, New York Times

- in Japanese

在ワシントン大使館発 在北京中華人民共和国外交部行き
最高機密指定/件名:今日のアメリカ

中国にとっては好ましい状況です。アメリカは相変わらず政治の二極化が根深く、米国から経済・国家世界一の地位を奪う目的を掲げる中国にとっては好ましい情勢が続いています。が、何よりも大きな楽観材料は、アメリカ人が全くしょうもないことで二極化していることですね。

こちらには自らすすんで自滅する空気が漂っており、まるでアメリカが世界中のありったけの時間と金をみみっちい政治に注ぎ込んでいるかのようです。彼らが言い争うことと言えば例えば — 作り話じゃないですよ— 空港のセキュリティ警官がどこをどう触るか、といったこと。またある時は — これは朗報 — 最近ロシアと行った核軍備削減条約のことで喧々諤々。共和党はオバマ大統領の弱体化に執着する余り、イランなどの問題で米露協力体制強化に役立つはずの条約をみすみすドブに捨てる有り様なのです。米露接近をもたらすものは、我が国の孤立を招く要因にもなり得るので、米国の国益より我が国の国益を優先し、本条約の上院批准を阻止したアリゾナ選出Jon Kyl 上院議員には多謝多謝です。さっそく大使がKyl上院議員夫妻をMr. Kaoの中華レストランまで夕食に招き、米国の(我が国の、と読む)国益を守る絶え間ない努力を讃えました。

アメリカ人は先日、彼らが「選挙」と呼ぶところのものを終えたばかりです。どんな行事かと言いますと、まあ要するにある政治家が他の政治家より多くの金を集めるんですな(全部自分が規制するはずの企業から)。向こうの男が先手を打つ前に、その男にまつわるもっとでかい嘘を、もっとじゃんじゃん頻繁にTVで流せるように。我々はこれを見て安堵しましたよ。つまり彼らには、膨れ上がる財政赤字、学力低下、崩れゆくインフラ、才能ある移民の減少など自国の構造的問題の解決になるようなことは一切真面目にやるつもりがない、ということですから。

大使は最近、アメリカ人が高速列車と呼ぶところのもの— Acela —にも乗りました。ワシントンからNYCまでの区間ですから、北京と天津を結ぶ我が国の新幹線なら90分で移動が可能な距離ですが、3時間もかかったのです。 — 定刻通りで! 大使は途中で大使館に携帯で電話をかけられたのですが、1時間で12回も通話落ち— これも作り話ではありません。大使館の我々の間ではこんなジョークもあるんですよ。「今は中国から来る電話も隣の部屋と話してるようだが、アメリカで隣の部屋から来る電話は中国と話してるように聞こえる!」。在ザンビア中国大使館に駐在経験のある連中なんかもアメリカに比べたらアフリカの携帯サービスの方がまだマシだった、とよく話してますよ。

ところがこれがアメリカ人にはまるで目に入らない。海外旅行を滅多にしないので、どれだけ自国がよその国に追い越されてきたかも知らないのです。そんな井の中の蛙のアメリカ人が今度は、どんなに自国が「素晴らしい」国かをめぐって大喧嘩してるんですから、大使館の我々から見れば笑止千万ですよ。何度も言いますが、これも作り話ではありません。ワシントン・ポスト月曜朝刊トップにちゃんと共和党サラ・ペイリンとマイク・ハカビーが「アメリカの素晴らしイズム」を否定したと言ってオバマを非難した記事がデカデカ載ってますよ。アメリカ人は素晴らしくなるよう努力するのではなく、まだまだアメリカも素晴らしいぜ、と言い合うような国になってしまったのです。素晴らしいという形容は他人様だけが自分について言える言葉であって、自分で自分を「素晴らしい」と宣言しても素晴らしくなれないことすら彼らは分かってないようです。

外交政策についてですが、オバマがアフガニスタンから米軍を撤退する可能性は全くないです。それをやれば共和党議員に弱虫呼ばわりさるのが分かっているので、これからもアメリカは1日当たり1億9000万ドルの出血大赤字を出し続けるでしょう。従って、アメリカには他地域で我が国と争ってるような軍事的余力はありません。特に北朝鮮。あそこでは我々の狂った友人が半年置きにアメリカの鎖を引っ張って騒いでいます。あれも中国になだめてくれとアメリカ人が泣きついてくるようにやってるわけですが。アメリカ人がアフガニスタンから本当に撤退する頃にはアフガン人はアメリカが心底嫌いになってるはずなので、あの国に既に進出済みの我が国の鉄鋼会社もきっとアフガニスタンのレアな鉱山資源を全部買い占めることができるでしょう。

国会に選出された新人共和党議員は、人間がもたらした気象の変化を科学者がいくら説いても信じないような議員ばかりです。アメリカの政治家は大体が弁護士 — 我が国の議員みたいにエンジニアや科学者ではなく — なので、科学についてトンチンカンなこと言っても、誰も何も言いません。これは良いことですよ。クリーンエネルギー技術の開発を促進する法案は支持しない、ということですからね。クリーンエネルギーは我が国の今後5カ年計画の柱。しかしアメリカは、我が国の風力・ソーラー・核・電気カー各産業支配に向けた努力をただ指くわえて見てるだけでしょう。

最後に。米国では今、中国語を学ぶ高校生の数が過去最高に達しています。我が国は準備金2兆3000億ドルで静かに米国の工場買い占めに動いているわけですが、お陰でここにも我々の言葉が話せる安価な労働力の安定供給が望めそうです。以上、米国内における中国情勢は良好。

それにしてもあれが中国でなくて良かった。アメリカ人に我々の公電が読めないのは何より何よりです。

ワシントン大使館より

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Comments

  1. 中国分のリークが楽しみです。
    どんなことが書いてあるんだろ~?わくわく。

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  2. わくわく。 いやあ、AmazonもPayPalもドメインサービスもフランスのサーバーもスイスの銀行口座も閉鎖されて殺人予告が何百件ときてるジュリアン・アサンジ氏には申し訳ないけれど、、、はい。

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