野口悠紀雄著『アメリカ型成功者の物語-ゴールドラッシュとシリコンバレー』読了:American Tycoons - The Gold Rush and Silicon Valley


Umihiko Namekawa at TechCrunch Japan sent me this newly published paperback "American Tycoons - The Gold Rush and Silicon Valley" (translated title) he contributed a postscript for.

Japan's bestselling author, Yukio Noguchi, ran a series on weekly  Shukan Shincho from April 2004 to June 2005, and compiled them into another title "Super Business Model of Gold Rush" in 2005 with the same contents. 

In the book, Noguchi tries to make a parallel between the two historical events and tells us how American uber-riches have made an astronomical fortune and if there's anything (anything!) we can learn from them.

Not only the positive side, though. He also mentions about the tragic life of James W. Marshall, dark side of robber barons, founding stories of Stanford University, and thus,  misterious death of Jane Stanford

All in all, it was a great read. Thank you, name-san!

James Marshall cabin in Coloma California (c) Wikipedia

滑ジイがあとがきを書いた野口悠紀雄著『アメリカ型成功者の物語―ゴールドラッシュとシリコンバレー』が出た!

ゴールドラッシュとシリコンバレーの類似点を紐解く本で、週刊新潮の連載『21世紀のゴールドラッシュ』(2004年4月~2005年6月)をまとめた『ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル』と中身は一緒だ(もくじ)。とりあえずこの「大金持ちになる方法、知りたくありませんか?」というスパムな帯を剥ぎ取って、貪り読んでみた。

ゴールドラッシュの章がもう最高に面白い。まさに息つく間もないストーリーテリング。一気に読ませる。最初に金をみつけたジェームズ・マーシャルの悲運(日本のWikipediaには立派な生家が載ってるが、身ぐるみ剥がされて余生を過ごしたのは上の写真にある山小屋だ)、全く異なるタイプの鉄道王4人が海、陸、海峡を突破して西を目指す物語の書き分けが見事で、まるで中国の一大叙事詩のようだ。

シリコンバレーの章はサンとシスコ、グーグルなんかのセピアな物語。ゴールドラッシュで得た教訓のおさらいが何度も何度も出てくるので、気の短い人は「もう分かったってば!」と怒り出すかもしれない。滑ジイの解説はとっても秀逸で、「本当は滑ジイなんて呼んじゃいけないのかも…」と不安になってしまった。今さら遅いけど。

鉄道王4人がなぜ泥棒男爵と呼ばれるのか不思議に思ってる人は、本書でその巧妙なからくりの一端が分かるはず。帯の謎掛けに戻ると、真似るべきは150年前の「大金持ちになる方法」の気構え・視点・発想の転換であって、実践の奥儀をそのまま真似ると今はたちまち後ろに手が回って、スタンフォード大創立の歴史的偉業で罪がチャラになるどころじゃない、という面もあるが、ともかく読んで絶対損はない。ゴールドラッシュの熱と毒を一晩で飲み干せる本。

[おまけ]
以下は滑ジイ(a.k.a.滑川海彦氏)が本書読んで真っ先にググッたと思しきシスコ・システムズ共同創業者サンディ・ラーナー(Sandy Lerner)女史の近影でござるよ。

 
Sandy Lerner (c) Goucher College

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social web rambling - 「アメリカ型成功者の物語―ゴールドラッシュとシリコンバレー」(野口悠紀雄・新潮文庫)に解説を執筆

Comments

  1. 書評ありとございましたっ! James Marshallの小屋って…これは悲しいですね。野口先生はエピックのストーリーテラーとして超一流。視野が広くて立体的。ほんとおもしろかったです。

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  2. ほんと他の本も読みたくなりました。

    >James Marshallの小屋
    ったく、ヒューレットパッカードの小屋とはえんらい違い。。。  「同情に余りあるが」と言いつつ、その駄目ぶりがこれでもかってぐらい何度も出てきて、「後ろ向きにしてるとこうなるぞってのは分かったから、、、もういいだろ~」と可笑しかったです。

    滑ジイの本も楽しみにしてます!

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