マドンナ、ワーナーから鞍替え:Madonna Leaving Warner

Madonna.com on Oct. 11, 2007

Madonna Heads for Virgin Territory - WSJ.com
Madonna move shows music industry's 360-model | Reuters


マドンナ(49)が1983年のデビュー以来、長年お世話になったワーナーを捨て、ビバリーヒルズのコンサート・プロモーター世界最大手ライブネーション(Live Nation)とぬぁんと171137億円の10ヵ年契約を結ぶ。これでライブネーションは
  • アルバム販売権(3枚)
  • ツアー興行ビジネス
  • マーチャンダイジング
  • ネーム・ライセンシング
などマドンナ・ビジネスの総代理店となる。

これは録音&配信はレーベル、ツアーはライブネーションやAEG、発券はチケットマスター、CM契約は…という従来の細かい分業体制の崩壊と見ることもできそう。CD売上数の落ち込みでレーベルはどこも契約業域の拡大に懸命だが、逆にライブのプロモーターがアーティスト丸抱えの攻勢に出ても、おかしくはない。

それにしても171億円というのは、すごい。前例がない。内訳はアドバンスが$17M、それにスタジオアルバムが1枚$50~60Mで3枚分(ワーナーからもう1枚出す契約が残っている)だから、171137億円の元を取ろうとしたらアルバム1枚当たり最低1500万枚売らなくてはならない(!)。

一方ワーナーには1983年のデビューアルバム(売上1000万枚)、シングルヒット「Like a Virgin」(売上げ2100万枚超)など過去20年間の楽曲の版権は全て残るので、腹は痛まない。チケットマスターの親会社IAC/InterActiveCorp.を巻き込んでツアー込みの契約提案で粘ったワーナーも、この空前の提示額を前にしては「手放して惜しくない」というコメントのようだ。

この契約単体でペイしないのは明らかだが、ライブネーションはマドンナというアイコンを神棚に収めて「アーティストにフルサービスを提供するエージェント」という看板を野っ原に立てたことになる。基盤のない新境地でどう戦っていくのか、見ものだ。

マドンナは昨年「Confessions」ツアーで興行収入$195M(約229億円)という大成功を収めている。新契約ではツアー収入の9割が彼女のもの。3月に表彰式が迫るロックの殿堂「Rock and Roll Hall of Fame」2008年度にノミネートされてることだし、来年は50の大台でステージ走りまくるね、こりゃ。

関連:TechCrunch「そして壁は崩れはじめた―マドンナ、レコード業界を捨てる

Comments