January 3, 2011

iPadはジャーナリズムの未来を破壊する:Why the iPad is Destroying the Future of Journalism

Good read.

[highlights]

・Search is the largest driver of traffic to news sites.  According to comScore, clicks from search engines account for 35-40% of traffic to major U.S. news sites.

・Major news portals don't deliver much traffic for news sites.

・Facebook turns out to be the largest subscription source of news content on the Internet.

・News has High CPMs, but low impressions relative to social media and other Internet categories.

・This is where targeting based on personal fingerprint shines - since it is entirely based on known information about users, it does not require content to do fine-grained targeting.
・Maybe I could share it with a special shortened link that encapsulates a special key - that key could charge me if I share it with my friends and I want them to read it, or it could charge the clicker of the link if the Economist decides to allow à la carte payment on some new kind of media platform.

・The success of search, social, and design seem to indicate that the future of news products need Google-level relevance, Facebook-level social, and Apple-level design.



Why the iPad is Destroying the Future of Journalism

by Bradford Cross, Measuring Measures, December 31, 2010

-in Japanese

先日iPadでEconomistの良記事を読んで、付き合いのある人たちにFacebookとTwitterで共有しようと思ったが、オールドメディアの記事はそれができない。

iPadが発売になった時、僕は大手メディアにもう1度だけチャンスを与えてやる気だった。これで彼らも目を覚まして新しいプロダクトやビジネスモデルを模索してくれるんじゃないかと思った。今のインターネット、分散化・シンジケート化したコンテンツモデル、ソーシャル・エコシステムと融合する道を模索してくれるかなと思った。が、全部同じ―単にブランド・チャンネルが量産されただけである。

iPadは「革命的デバイス」と銘打たれ、ジャーナリズム業界は我先にこれに飛びついた。が、それは抱擁と言うより、必死の形相で過去にしがみつく最後の悪あがきに近いものだった。

iPadは楽しいデバイスだ。が、そのiPadにも、ジャーナリズムの今のモデルは救えない。

ブランドモデル救済ラッシュ: またRSSに逆戻り


オールドメディアは購読モデルを維持したい。このモデルはこれまでもうまくいってきた。特に彼らは、破損が高い(=読まなくても返金しなくて良い)ところが気に入っている。これまでに彼らがテストしたモデルと言っても、他にはペイ・パー・エディション(従量制)という、昔ながらのニューススタンド・モデルぐらいだしね。

パブリッシャーは自社アプリでも自社半アプリでもいいので、とにかく自社ブランドのチャンネルを持ちたがる。彼らはウェブにコンテンツをシンジケート配信する流れに逆らい、みなさんに自分たちのサイトに来てお金を落としてもらいたいのだ。その理由は、Googleニュース、Yahooニュースなんかの仲間とうまく行ってないというのも大きい。こういったサービスは彼らから見て実入りの良い収益共有モデルではないからね。

先日、iPadのマガジン売上高の数字が出た(拙訳)。芳しくない数字だ。みんな理由をあれこれ詮索している最中だが、モバイル端末も結局はインターネットの一部なんだよな、という共通認識に収まりつつある。 iPadが出た途端みんなインターネット登場前のビジネスモデルに回帰する、なんてことはないのだ。Webは死んじゃいない。モバイル端末はそりゃラップトップやデスクトップほど頻繁にはWebブラウザでコンテンツは見ないだろうけど、コンテンツ配信に使うアプリがなんであれ、インターネットからコンテンツが配信されることに変わりはないわけで、インターネットでこれだけ世界が変わってしまった後では今さらこのモデルに戻る理由もないのである。

今どきたったひとつの情報源でコンテンツ仕入れる人なんて誰もいない。これがインターネットというものだ。好きな新聞・雑誌を選んで、そのアプリだけ贔屓にする人なんか誰もいない。ニューヨーク・タイムズは1851年創業だが、きっと当時は新聞買うだけでクールだったんだろう。でも哀しいかな、今は1851年ではない。

コンテンツ・ソースごとにアプリを入れる人なんか誰もいない。雑誌アプリがRSSと共通点が多いのは驚くばかりだが、今回に限ってはスマートなビジネスムーブだと思ってる人がいるのが違いだ。RSSの時は、誰もうまくプロダクト化できないインターネットプロトコルというだけの話だった。

かくして右も左もRSSをまた一からやり直し。前より美麗になってはいるが、今出回っているのはPulseやFlipboardといった表示用レイヤーだけ改良したアプリだ。これで革命的? まさか。一方、オールドメディアは昔ながらのブランドチャンネル・モデルに妄執する最後の抵抗とばかりに、先を争って自社独自アプリの製作を進めている。ニュースコープのThe Daily、ヴァージンのProject、ニューヨーク・タイムズのアプリなどなど。

無論、褒めるべき点もある―今のアプリは美しく、表示用レイヤーに大変な技術革新を施しており、読書のエクスペリエンスは格段に良い。が、そんな比ではないぐらい大きな未解決の問題を抱えていることもまた事実なのだ。



今の有力なメディア・モデル


グーグル向けにHal Varian(UCバークレイ経済学名誉教授)が行った調査によると、ネットユーザーのうちニュースをオンラインで読む人は40%らしい。が、最近の数値はさらに高く、おそらく57%前後のアメリカ人(1億2300万人相当)はネットでニュースを仕入れており、ニューヨーク・タイムズだけで月間3000万人を超える人々にコンテンツを配信している。

これは巨大市場だが、みんなニュースはどこで探しているんだろう?

直接好きなサイトに行って仕入れるユーザーも多い。

また、検索は、ニュースサイトにトラフィックを誘導する最大功労者だ。comScoreによると、検索エンジンのクリックでサイトに飛んでくる人は、米主要ニュースサイトへのトラフィックの35-40%に相当するらしい。

Google NewsやYahoo Newsのような大手ニュースポータルは、NYTやCNNのような大手ニュースブランドと似たりよったりの規模。大手ポータルも大手ブランドも両方とも全世界ユーザー数は5000万人-1億人超の間だが、規模が大きい割にはポータルはニュースサイトにトラフィックをあまり誘導していない。それどころか今はURL直打ち以外のニューストラフィックは検索経由が大半を占めるので、インターネット最大のニュースコンテンツ購読ソースがFacebookなんてことが起こっている

2010年、Facebookはビジター数最多の、ユーザーが最も長い時間を過ごすサイトとなった。それを思えばソーシャルがYahoo NewsやGoogle Newsといったニュースポータルモデルを抜き、検索に次ぐTOPリファラーになったのは驚くことでもないかと。

僕が見つけた最新統計によると、Facebookからの流入はニュースサイトのトラフィックの3.5%を占め、Google Newsからの流入は1.4%、Google Readerからの流入はわずか0.01%。全部合わせてもニュースサイトへの全トラフィックの5%で、検索で誘導されるトラフィックの1/6~1/8にも遙かに及ばない。因みにFacebookは今やYahooやMSNのようなポータルにトラフィックを誘導するトップソースでもある。


ユーザーが本当に求めているものは何なのか?


メディア業界では一体どんなユーザー調査を行ってきたのか? それについては、「The Daily」発行に対するルパード・マードックの理念を報じた記事に適切にまとめられている

79歳のマードック氏は、読者は無目的にサーフィンしがちなネットよりiPadの方が没頭できる、という調査結果を見て、この構想を思いついたのだという。

みんなiPadで何か読んでるんだって。調べなくても分かるって? 確かに厳密なユーザー調査とは言えないよね。

で、ユーザーが本当に欲しているものは何なのか?

検索モデルがこうして幅を効かせているところからひとつ判断できるのは、関連度。コンテンツ発見では関連度が重要だということだ。

関連度の価値は今さら書くまでもないだろう。インターネットは物事を民主化し、分散化する。まずはグジャグジャに分解してしまって、そこから分離抽出できるハイレベルのプロダクトが混沌を掻き分けるナビのお手伝いをする。検索、Googleの重要性で、これは嫌というほど見てきたはずだ。だからこそ古い体質の報道機関は問題解決できる立場ではないのだし、よって次世代ニュースのプロダクトにユーザーの目を向ける立場でもないのだ。

さらにこの数値からはソーシャルな関連度の篩を通した発見が増えており、検索やニュースサイト直接訪問以外の「購読」形式でコンテンツを発見する際にもソーシャルが主要な役割りを果たしていることが伺える。

まだ始まったばかりだが、より美しくデザインされたプロダクト(FlipboardやPulseなど)ではアクションも多い、という現象を僕らも目の当たりにしている。

こうした検索、ソーシャル、デザインの成功を見てくると、これから成功するニュース・プロダクトはGoogle級の関連度、Facebook級のソーシャル性、Apple級のデザインを備えたもの、ということになろうかと思う。

かつて新聞は読者に均質なエクスペリエンスを提供してきた。ニュースに対する現代のアプローチも、あれを取り戻すべきだと思う。が、それをやるなら、もっともっと幅広いコンテンツのプールから、もっともっと関連度を絞ったものを選んで提供できないといけない。また、ソーシャルな要素との融合も必要だ。 コンテンツによってソーシャルな要素の重要度はマチマチだけども。

自分のメディア消費の作業フローを述べるよう頼んでも大体のユーザーははっきり述べられないものだが、インタビューして観察をし、徹底的に調べると、コンテンツはいくつかのバケツに分かれることに気づくはずだ。

  • 国際  - 国際ニュースは大事。何故ならマクロスケールで大きな問題だから。国際社会に関連がある。
  • 地方  - 地方ニュースは大事。何故ならミクロスケールで大きな問題だから。自分の住む地域社会に関連がある。
  • 興味 - 自分の興味領域のニュースは大事。何故なら自分個人が関心を持っている問題だから。自分と同じ興味範囲の人たちのコミュニティに関連がある。
コンテンツ消費は他にもいろんなスタイルがある。例えば、国際ニュースの見出しは速読でスキャンするけど、長文や、自分に一番興味のある分野のニュースは全文通しで熟読する、とかね。

大体のユーザーはFacebookやGoogleといった出発点をひとつか数カ所持っており、そこからニュース探しを始めるか、好きなニュースソースに直に飛ぶのが好きみたいだ。


ビジネスモデル再考


Hal Varian教授は新聞経済学の講演で、ニュースの収入源は常に広告収入が8割を占めると言っている。2008年現在、新聞広告収入はまだネット広告収入の4倍あったが、それも変わってしまった。ニュースはソーシャルメディアや他のネット部門に比べCPMは高いがインプレッションは低いのだ

ニュースはトラフィックが膨大でも、それが儲けに直結するわけではない。新聞は1面のニュースから収入を得るなんてことまずない。ドル箱は不動産、売りたし・買いたし、ビジネス、旅、ホーム&ガーデン、車、テクノロジーの各面なのである。

ここで光るのが、個々人の指紋に基づくターゲティング。これならユーザーに関する既知の情報だけをベースに広告を掲示するので、コンテンツの側でターゲットを細かく絞る必要がないからね。

そんな中、オールドメディアはどうすればいいのか? 購読モデルと有料の壁モデルのダブル賭けで凋落していくのか? これがまさに2011年彼らが辿る方向性なわけだが。僕が上で進言したような新広告モデルを模索してみてはいかがだろうか?

考えなきゃならないのは「有料コンテンツvs.広告」という問題だけではない。最初に触れたEconomistの事例に立ち返ってみよう。ジャーナリズムがしかるべきモデルに行き着くとすれば、まず何はさておきソーシャルウェブをどう融合すべきか、その方策を見つけ出すところから始めなくてはならない。

あのEconomistの記事を読んだ時、本当ならどういう風にできなきゃいけないだろう? 記事について話したい相手と好きに話せるようアラカルテの共有も可能にすべき? 自分のネットワーク内や、あるいはEconomist有料購読者のネットワークと自分のネットワークが交わる場で共有できるようにすべき?

一般公開で共有できるようにすべき? 読んでもらいたい友だちには僕のツケで共有できるような特殊なキーを盛り込んだ短縮URLで共有できるようにすべき? リンクをクリックした人にツケが回るようにすべき? …Economistが何か新種のメディアプラットフォームを採用し、アラカルテの決済も受け付けるようになれば、それも可能かもしれない。それかクリックした人には記事を無料で配信し、僕がその人とどう情報を共有したか、誰がクリックスルーして記事を読んだか、といった情報価値、バイラルマーケティングの価値を優先するんでもいいだろう。

記事発見では、検索およびソーシャルが独占的役割を果たしている。これを見ても、ブランドチャンネルを購読するニーズより、シンジケーションのニーズの方が高いことが伺える。シンジケーションモデルは記事の関連度に一層フォーカスを絞らなきゃいけない。それとソーシャル、デザインの新たなニーズを併せて考えるに、メディア企業はやはり本道に立ち返って中核のコンピテンシー、つまりジャーナリズムに今一度注力する必要があるように思えてくる。

これはさらに、メディア企業が自社コンテンツをシンジケートできるような新プラットフォームが求められていることをも示唆している。個別のアプリやチャンネルの量産は、その新モデルではない。Google NewsやYahoo Newsも、その新モデルではない―もうどっちみちFacebookに抜かれちまってるんだし。DiggやRedditのようなコミュニティサイトは候補にすら挙がっていない。

メディアにとって朗報もある。その新モデルを迎え入れれば配信網は広がり、ターゲティングは改善し、広告収入も上がり、彼らの手には過去手にしたより遙かに多くの金が舞い込むだろう。


[Measuring Measures]

1 comments:

Penguin said...

A happy new year! long time no see!
Thank you for your splendid translation!

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