January 19, 2012

iBooks Author使用許諾契約の厚かましさは異常:The Unprecedented Audacity of the iBooks Author EULA @wineman


Apple just released iBooks Author, a free Mac app for creating digital books for the new version of iBooks. I haven’t played with it much, but so far it looks like a very good tool. However, a curious thing happens when you go to export your work in iBooks format: >>>read on venomous porridge - The Unprecedented Audacity of the iBooks Author EULA:

誰でもちゃちゃっと電子書籍がつくれる無料アプリがアップルから今日出て、「ひゃーこれこれこれを待っていたのよ! 今すぐ使いたい!(無料だし)」と盛り上がってたら、こんな萎える記事が出ておったわい。う~むこれは…クパティーノ・ホンダが怒るぞ~


The Unprecedented Audacity of the iBooks Author EULA

BY Dan Wineman, venomous porridge

Appleがさっき新iBooks向けに電子書籍が作れる無料のMacアプリ「iBooks Author」をリリースした。まだあんまり使ってないけど、なかなかいい。ただiBooksフォーマットの作品をエキスポートしようとしたら、妙なことが起こった。

(c)venomous porridge
(訳)自分の本の、iPad搭載iBooksで読めるバージョンを作りましょう。
注:書籍はiBookstoreでのみ販売できます。iBookstoreで自分の本を出版したい方は、File > Publishを選択ください。

iBookはiBookstoreでしか売れない、とね。ただし、これは技術的な規制ではない。文書を保存して、手持ちのiPadに普通の方法で(自分宛てメールとか)移すことは可能だ。そうして送ったものでもiBooksアプリでぽ~んと開くんだよね。

だけど、アプリのAboutのボックスからiBooks Authorエンドユーザー使用許諾契約(EULA)を開いて読んでみたら、こんな太字が一番上に出てきたのである。

重要:このソフトウェアを使って製作した書籍や他の作品(“Work”)を有料で販売する場合には、WorkをApple経由(つまりiBookstore経由)でのみ販売・配布するものとします。また、配布に際してはAppleと別途契約が必要です。
さらに第2項には配布要件として、こうある。
(i) 無料配布:あなたのWorkはどんな方法で配布しても良いです。
(ii) 有料配布(購読プロダクト&サービスの一部含む):あなたのWorkはAppleを通してのみ販売できます。配布には以下の制限・条件が適用されます。 (a)あなたのWorkを有償配布する前にApple(支社・提携先含む)と別途書面で契約取り交わしが必要です。 (b) Appleは様々な理由と自己裁量であなたのWorkを配布対象に選ばない場合もあります。

つまり、このアプリで僕が作ったものは、なんでも僕が売ろうとすればAppleに取り分を渡さなくてはならない、というルールをAppleは確立したがってる…まあ、iBooks Authorは無料だから、こういう取り決めも妥当に思えるよね。

ただここでひとつ問題があって、僕はこの契約に同意しなかった。なのにAppleは、こっちがアプリ使っただけでもう同意したことにしたがってるのだ。
このAPPLEのソフトウェアご使用の前に、このソフトウェアのライセンス契約(“LICENSE”)をよく読んでください。このAPPLEのソフトウェアを使用することで、このライセンスの定めに従わなければならないものとします。このライセンスの条項に同意できない人は、このソフトウェアをインストールしたり使用しないでください。 
そんなこと言ったって、この文言はEULA本体の中にあって、インストール前にこのcontract of adhesion(付帯契約)には署名・クリックは一切求められなかったんだよね。つまり要約すると、このソフトは使うだけで、その作品はあちらに取り分が行く、という先方の条件に同意したことになってしまうのだ。でもさ、そんな論法がまかり通って法的拘束力持つんなら、もうなんだって言えるんじゃないの? カーディーラーがダッシュボードの中に契約書忍ばせといて追加条件に従わせる、みたいな話じゃない? 車を運転したら、なんか知らないけどそれだけで「オイル交換は全部クパティーノのホンダでやります」って同意したことになっちゃってました、みたいな?

AppleはこのEULAで自社ソフトのみならず、自社ソフトのアウトプット(出力、作品)にまで権利を主張しているわけだけど、 それってMicrosoftがWord文書使って人様がやることに口出しするようなものだし、Adobeが「Photoshop使ってJPEGをエキスポートしたら、その写真はGettyに自由に売れないよ」と言い張ってるようなもの。 僕が知る限りコンシューマ向けソフトウェアの世界では、こんな慣行、前例がないよ。法人ソフトの世界ではきっと普通に行われてることなんだろうけど、法人の契約書は企業の法務が交渉した上で違反・解約条項も織り込んで、昔ながらにインクとペンで署名を取り交わしてまとめるんだから、これとは違う。使うだけで同意したものとみなす…あー因みにファイルフォーマットにも権利行使させてもらいますよって? こんなの聞いたことないぞ、僕の経験では。

僕が自分で何かつくる時は、つくるのに使うソフトがなんであれ、著作権侵害作品でもない限り、自分の好きな方法で、自分の好きなフォーマットで配らせてもらう、無料でも無料でなくても。僕にはその権利がある。「海賊版Wordで書いたからおまえには出版権ないよ」といくらMicrosoftが決めつけてきても、小説を出版する権利は僕にある。それが損なわれるというものではない。自分のiBookをiBookstoreの外で売ろうとしてたらAppleに勘付かれた、それだけで出版する権利を失うの? よくわからないな、これはまだ未踏の領域だし。

じゃあ、これは? AppleのEULAが有効で、自分もソフト使うことで暗にそれに同意したとするよね。さっそくiBook(電子書籍)作って、それを誰か他の人にあげたら、その人はiBooks Authorを一度もダウンロードしてなくて、EULAの縛りもかからない人で、その人が自分のサイトで売ってしまった――これはどうなるの?

iOSアプリを売る合法マーケットはApp Storeだけ、ということでAppleは徹底している。僕がXcodeツールセットでつくるコンテンツには法的権利を何ら主張してこない代わりに、Appleは技術的制約を加えてきてる。アプリはAppleに暗号化署名をもらわないと、改造してないiOS端末では走らないようになっているのだ。これは好ましい状況なのかな? Appleと初心者ユーザーにとっては、たぶんそうかもね。だけど、デベロッパーにとってはひどい話で、ものすごい頭痛の種でもあるわけよ。でもある意味、ソフトウェアのダッシュボードに何段落か隠しておけばそれだけで人様の作品になんでも好きな権利行使できる世界に比べたらまだその方がまだマシって気もするな。

[venomous porridge]

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5 comments:

Anonymous said...

WordもPhotoshopも有償製品だし・・・

それぞれ無料で配布して、「Photoshopで作った作品は有償配布禁止。その際は俺らに分前よこせ」っていうのは、別におかしくないと思いますが。
個人で個人的に利用するだけなら無償、っていうなら、よっぽど太っ腹では?

あと、有償ソフトだけど、個人なら無償、ビジネス利用(金儲け)なら有償とかもあるし、
GPLなどは、自分が手を加えた部分まで制限が伝染する。
ライセンス無視で自分が作ったものは、なにがなんでも自分のものだ、っていうのはどうなんでしょうね。

AppleがiBooks Authorを有償販売でもして購入すれば自由に使わせてもらえるんじゃないでしょうかね。

satomi said...

ですね。この断り書きだけソフトの中に埋め込むんじゃなく、ダウンロード前にサイトに明記されてれば特に問題ないと思います。作り手が一番知りたいところなので。

>iBooks Authorを有償販売でもして購入すれば自由に使わせてもらえるんじゃないでしょうかね。
だといいですね^^

今は無償販売でiPadオンリーのコンテンツ増やしてiPad売る方が先決なんでしょうけど。。。そちらを好む作り手も多いと思います

Anonymous said...

昔?ブログとかのサービスにもうちで作ったものは他所に持ってくなという条件があって、ユーザーじゃなくて、会社が用意したテンプレート部分に著作権主張してたような…

ギズモードの追加情報だと、中身じゃなくて、iBooks用のファイルが他所で有料販売禁止ということらしいです。だから、テンプレートに著作権主張してるのと同じようなものかも。

日本だと、まだ公式ストアは無いし、拒否されそうな作品もめちゃくちゃ多いし、他のストアでも販売出来た方がいい気がしますが…

Anonymous said...

iPhone/iPadアプリの配布をiApp storeに制限しているのはそれなりに理解するけれど、iBooks authorで作成した文書の有償配布をAppleが独占するというのは納得できない。
著作権管理(DRM、iPadと文書のくくり付け)を行う場合のみApple store経由とし、DRM機能利用料として何がしかの料金を徴収するというビジネスモデルが良いと思う。無償配布の場合、DRMは行わないということで。

satomi said...

>テンプレ利用料
ですね…他のタブレじゃどうせ動かないんだし…

アマゾンがソフト売りたさにハード(Kindle Fire)原価割れで売れば、アップルはソフト欲しさにテンプレただ売り、ですか… 激突ですね…

>DRM機能利用料
ああ、そういう場合分け、いいですね!
決済&DRM込みで3割納税なら納得って人多いかも…


一般本はしょうがないとして、教科書をこれでっていうのは教育機会平等の原則とぶつかっちゃう予感も。発表では高校(アメリカでは義務教育)の教科書改革をこれでってことでしたけど、公立の教育現場でクローズドなビジネスモデルが通用するのかな…その辺も注目してます。

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