August 15, 2011

グーグルのモトローラ買収、最悪のシナリオ:GOOGLE-MOTOROLA DEAL Could End Up Being A Disaster @businessinsider

THE TRUTH ABOUT THE GOOGLE-MOTOROLA DEAL: It Could End Up Being A Disaster

by Henry Blodget, Business Insider

-in Japanese

グーグルが今朝、携帯メーカーのモトローラ・モビリティを125億ドルで買収する、という面白い動きに出た。

大胆な戦略転換は、さすがグーグルだが、現実を見ると、この買収は最悪の結果に終わる可能性もある。なぜか?

まずこれで既存の流通に大きなチャンネル・コンフリクトが生まれる。つまりグーグルは自社パートナーと競合関係となる。ハード製造はグーグルの中核事業とは180度毛色が違う。ハード製造はクラッピーな低マージンのコモディティ事業だ。モトローラはデカい。グーグル社員の数はこれで60%も膨れ上がった。しかも買収は攻撃目的ではなく、純粋に防御目的なのだ…などなど。

以下に、この買収で持ち上がる疑問と課題をひとつひとつ見てみよう。

1. チャンネル・コンフリクト


「事業パートナー」のグーグルがハードウェア販売の直接の競合相手になることについて、HTCとサムスン―Android搭載型スマートフォンメーカーの大手2社―はどう思っているのか?

ここで言ってるのは「表向きどう話しているか」ではなく社内で内心どう思ってるのか、という意味だ(グーグルがHTC、LGなど各社から引用したコメントはみんな同じ広報マンが書いた作文かってぐらい、どれも似たり寄ったりの言葉を使ってる)。

Android(およびグーグル)がモバイル市場で幾ばくかのシェアを抱えるまでになったのはひとえに、HTCやサムスンがGoogleのソフトウェアプラットフォームを使ってくれたからに他ならない。その恩人をグーグルは背中から斬りつけてきた。

今さらサムスンもHTCも別のプラットフォームに乗り換えるのは遅すぎる。だから笑顔こしらえて、ここからなんとか最善の結果を引き出そうとしている。それでも... 自分のソフトウェアの「パートナー」がいきなり自分の喉元にミサイル発砲してきたら、あんまりいい気はしないよね。

これで仮にグーグル傘下に移ったモトローラがハードウェア事業でシェアを伸ばし始めたりした日には、感情のわだかまり(とテンション)は悪化の一途だろう。



(c) Nielsen

2. アップル型モデルの勝利?

モバイルにおいてはアップル型のハードウェア&ソフトウェア統合ソリューションが、PC型の汎用ソフトウェア+全ハードウェアプロバイダのモデルより優位だと認めたことになるのではないか?

結果だけ見るとそのように思える。これまでのところAndroid最大の弱点はフラグメンテーション。OSのバージョンが多種多様にある上、ハードウェア製造元も多種多様なカスタマイゼーションを行うため、汎用プラットフォームも名ばかりのものになっていることだ。マイクロソフトがアップルなどを倒した時の戦略は「ユビキタスになること」だったが、そのパワーをフルに活かすためにもグーグルはAndroidをひとつに統合する必要がある。それが無理ならハードウェア会社を抱えるしか道はない。

3. マイクロソフトはどう見る?

第三に知りたいのはマイクロソフトの反応だ。彼らから見てこの買収は朗報なのか…死刑宣告なのか?

モバイル分野でかつてないほどの朗報なんだろうか? これでハード販売でパートナーと競合しないのはマイクロソフトだけとなったわけだが。それとも、モバイルではハードとソフトのソリューションを統合しなきゃいかん、一本化してないモデルは生き残っていけないと知って今ごろパンツに漏らしてるところだろうか?


4. 本当に防衛目的なのか?

第四に気になるのは、純粋に防衛目的の買収なのか、それとももっとポジティブな理由もあるのか?ということ。 

投資家向けのカンファレンスコールの説明と、提携各社の話としてグーグルが伝えたコメントを見ると、「モバイル関連特許を買収」し、Androidをアップルやマイクロソフトの攻撃から「防御」するためにも買収は必要だった、というのが一番の正当化理由みたいだ。しかしGoogleがまさかAndroid「防衛」に130億ドルも出さなきゃならないなんて、増してやハードウェア製造パートナーと競合関係になるなんて半年前には投資家もパートナー各社も想像だにしなかったはずだ。


5. 投資家は異業種参入をどう見る?

第五に、グーグルが同社新事業で最も重要な戦線における提携関係(とマージン)を破壊しかねない新業種に参入することを、グーグルの投資家はどう見ているのか?

発表当初の投資家の反応は悪く、グーグル株は時間外取引きで打撃を受けた。

当たり前だ。ハードウェア販売は競争が苛烈な商売だし、中核のコンピテンシーもグーグルのそれとは全く違う。ハードウェア製造・販売に必要なのはサプライチェーン、部品、工場、物理的配送、消費者マーケティング―どれもグーグルには経験がほとんどない。モトローラも近年こうした面で目覚しい活躍をしてるとは言えない。

しかもグーグルの従業員数はこれで1万9000人増えた。1万9000人!グーグル社員は現在たった2万9000人だから、一挙に60%も増えた勘定だ。企業カルチャーをあれだけ大事にするグーグルで。こんな大所帯管理できるマネジメントチーム、グーグルにあるんかい?

そんなわけで賢いグーグル投資家が心配するのも無理ない話なのだ。

無論、グーグルが奇跡を呼び起こしてモトローラ・モビリティをアップル互角のライバルに変える可能性もある。その場合グーグルはAndroidのディストリビューションだけでなく、iPhone風の超太い利益マージンも手にできるだろう。

が、それをやるのは超困難だ。モトローラの今のハードウェア開発チームにはアップルのチームが持つマジックの欠片もない。グーグルがそのマジックを真似しようとすればするほど、他のAndroidパートナー各社はグーグルが及ぼす競争の脅威に抵抗を示していくだろう。

もっとあり得るシナリオは、グーグルが今のままモトローラをハンドセット業界のその他大勢のひとつという凡庸なステータスにキープしていくことだ。検索分野における栄光の独占的ソフトウェアビジネスにゴミみたいなコモディティハードウェアビジネスを加えて。まあ、それも投資家は歓迎しないだろうけどね。

グーグルが大きく出たのは認める。が、このたびの動きには回答より疑問・課題の方が多い。まかり間違うと最悪の結果に終わるだろう。



[Business Insider]

2 comments:

Anonymous said...

>グーグルが今朝、携帯メーカーのモトローラ・モビリティを125億円で買収する、という面白い動きに出た。

「ドル」では。

satomi said...

あ……!

直しました、どこぞの誰かは知りませんが、ありがとー、GBY.

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