August 25, 2011

ジョブズ辞任には第2幕がある:Cupertino Two-Step - @cringely

via Giz

While leaders shares their experience with Steve Jobs, Robert X. Cringely insists this is not the end, there must be one more thing waiting for us:)

各界 リーダーがジョブズの思い出を語り合い、ひとつの時代の終わりを受け止めようとする中、ひとり「これで終わりなわけがない、ワン・モア・シングがくる!」と言ってる人がいる。ベテランジャーナリストのロバート・X・クリングリーだ。

Cupertino Two-Step

BY Robert X. Cringely

-in Japanese

水曜、飛行機に搭乗間際に、Appleがスティーブ・ジョブズCEO辞任とティム・クックの新CEO就任を発表した。チャールストン到着まで2時間機内で考えてみたが、考えれば考えるほどこの話はこれで終わりという気がしない。Appleの長期的リーダーはまだ決まってないんじゃないか、そんな気がしてならないのだ。

Apple役員がスティーブ・ジョブズの後継候補に次々面接しているらしい…という噂が出回ったのは今から1ヶ月前。驚くことではないよね。ジョブズは健康状態が芳しくないのだし、どこも役員会はCEO雇ったり首にするのが一番の仕事なのだから。だけど、これはスティーブの心証を害したようだ。彼にも彼なりの後継プランがあったのかもしれないし、あるいは単にニュース漏洩を防ぐAppleの鉄壁に綻びができたことに腹を立てたのかもしれない。このニュースはたちまちのうちに握り潰された。

そして1週間前。ウォルター・イサークソン(Walter Isaacson)の公認スティーブ・ジョブズ本の出版予定日が2012年3月6日から2011年11月21日に繰り上がった。これは大きな衝撃だった。何故って僕が最後に読んだときイサークソンはまだ本を執筆中だったから。版元のSimon&Schusterに原稿を出す締切りは9月ということだった。

伝記も大著となると予定より早く脱稿することもないし、急いで完成させることもない。仮に予定通り9月に書き上がるとすると印刷・出荷に残された時間は1ヶ月。出版社の作業 — コピーエディティング、デザイン、装丁、もくじ作成など — は通常最低6ヶ月かかるところ6週間未満でやらなくてはならない。早く出した方が売れるから無論ビジネス判断としては正しいが、それだけじゃ全く説明がつかない。外部からなんらかの力が働いて締切りが繰り上がったと見るのが自然だ。

この出版化を早めている力がスティーブ・ジョブズなのではないか。




と思ってたら今度はジョブズ辞任である。と言っても会社を去るのではなく、CEOの職務をティム・クックに譲るだけで、今後もApple社員、取締役会長として残る。俗に言う「常勤会長」というやつだね。仕事は毎日やる。そしてその毎日やる仕事とはスティーブ・ジョブズが構想する企業戦略をティム・クックがそのまま実践してるかどうか目を光らせる仕事だ。

となるとクックの仕事は今までCOO(最高執行責任者)でやってきた仕事とまるで変わんないんじゃないか。まあ、給料はグンと上がるだろうし、恩給はもっと輪をかけてすごそうだけど、でも本当に会社の実権を握る男は来週になってもスティーブ・ジョブズ、という気がするんだよね。で、アップル役員会はこれで後継の問題も信用評価(これは大した問題ではないが)も片付いたことだし、また布団被ってぐっすり眠れる、というわけ。

だが、これは長期の解決にはならない。スティーブ・ジョブズだって永久にいるわけではないのだし、いずれは真の後継者選びが要る。クックは管理能力に長けてはいるが、ジョブズのビジョナリー(先見者)としての役割りを埋めるには力不足だ。またトップ交代があるのではないだろうか。そしてそれはイサークソンが今度出す本と何か繋がりがあるのかもしれない。

こんな風に言う根拠は、自分が理解しているスティーブの人柄というのもあるが、それだけでなく、イサークソン近著のアルベルト・アインシュタインの伝記(傑作だ)を読んだことも大きく作用している。あれを読んでジョブズもイサークソンに伝記を書かせることにした。これは偶然の出会いなんかではない。そもそも偶然の出会いなど信じるスティーブではない。

アインシュタイン本の中でイサークソンが狙った(そして成功した)のは、世界を変えたこのドイツ人物理学者の心とアイディアの中に読者を誘うことだ。ジョブズ本でも同じことをするだろう。ジョブズの場合、一般の理解が足りないのは技術分野のビジョナリーとして彼が成熟する過程ではなく、むしろ彼のビジョンそのもの、だ。アップルは今後どこに向かうのか? 同社のグランドプラン(大計画)とは?

そういうプランがあることは我々も承知している — ないわけがない。アップルのこれまでの動きを見ていると周到過ぎて謎というか、とてもエグゼクティブが場当たりで歩いてるようには思えない。なのにトップに近い人間は誰も同社の向かう方向について説明をしようともせず、謎のままにしておく方がいいと言わんばかりだ。ビル・ゲイツは自伝の代筆をNathan Myhrvoldに頼んだが、スティーブはビルよりクラッシーだ。ウォルター・イサークソンの書く本はきっとスティーブのテクノロジー分野のマニフェストとしての役目も担い、氏のレガシーの一部となるだろう。

そのグランドプランが明らかになれば、アップル34年の歴史中ベストな四半期中、そのプラン実行を率るにふさわしい人物が誰かもはっきりする。スティーブ・ジョブズはもうひとつ壮大な発表をする下準備(と我々の心の準備)を今しているところなのかもしれないね…just one more thing.


[I, Cringely]

6 comments:

Syunrou said...

>となるとクックの仕事は今までCOO(最高財務責任者)
ここの件のCOO(最高財務責任者)ではなく、COO(最高執行責任者)が正しいです。
最高財務責任者だと、CFOになってしまいますから…

tom said...

興味深い記事でした。ジョブズはきっとジョブズ以上の個性や異なるカラーを持つ人物を後継者として望んでいないだろうと思います。技術の革新、時代の変化の中でAppleがなすべきことをする、その実行者としての後継者を望んでいるのではという気がします。
>クックは管理能力に長けてはいるが、ジョブズのビジョナリー(先見者)としての役割りを埋めるには役不足。
よくある間違いですがここは「役不足」ではなく「力不足」が正しいと思います。
細かくて申し訳ないです。

challenge-1 said...

私はApple製品同様、ジョブス氏はシンプル、2ステップなんて所詮ネタじゃないかと思います。

シンプルでこそ美しくあれ。

カラーが当たり前の時代に敢えてWYSIWYGを優先してモノクロのワークステーションを出す男ですからね。しかも規格外の256MBのMOドライブに、たった1本のケーブルでディスプレイと接続する真っ黒で真四角な箱に詰めて。ただシンプル=簡単ではなく、それを具現化するのは相当な難問。誰が電池交換できないケータイを売ろうなんて思うでしょう? 彼の替わりはどこにもいないのです。

Apple製品とAppleの株、それは両輪かもしれないけど価値は同じじゃない。実際Appleが復活したのはジョブス氏がまだ暫定CEOだった頃。誰がCEOかなんて、所詮100円を200円で売る人たちの話題だと思う。

challenge-1 said...

オフトピで申し訳ないのですが、まずアインシュタインの伝記を読んでみようとググっていたら、amazonのコメント欄に訳者から「一部機械翻訳で出版された」という驚愕の告発が!

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4270006501/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1#

回収されたそうですが、果たしてamazonから購入する本は大丈夫なのか? 上下巻に分かれていたため、カバーの色が違ったのが幸いし、購入寸前で気が付きました。これから確認しようと思っています。

私のようにこの記事を読んで購入をご検討の方、お気をつけ下さい。中には敢えて誤訳版がほしいという方もいらっしゃるようですが・・・

satomi said...

あわわわわ、直しました、ご指摘ありがとうございます! この分Syunrou様、tom様に良いことがありますように―

>ジョブズ以上の個性や異なるカラーを持つ人物を後継者として望んでいない
そんな気もとてもします:)

>驚愕の告発
読みました。。。amazon.co.jpにこんなgemが転がっていようとは…w 下手な小説読むより面白かったです(ごめんなさい)。いや、こういうことってあるんでしょね…うん。ジョブズで脚光浴びたこの機会にじっくり時間をかけて直して出版すれば末代まで売れる名著になりますよね。

challenge-1 said...

2011/8/28 アインシュタインの伝記についてamazonから回答頂きました。今amazon.co.jpで売られているのは全て修正版になっているそうです。

Post a Comment