September 20, 2010

マイケル・アーリントンの仕事術:The Way I Work: Michael Arrington of TechCrunch - Inc.

Awesome piece by @arrington.


The Way I Work: Michael Arrington of TechCrunch
- in Japanese


寝起きは最悪。もともと朝は強くない。それにどうせ起きるとまたいつものように緊急のメールやテキストメッセージだしね。「オーマイガー! 大変なことになってるぜ! よくもこれ書かずにいられるな?」

特ダネなら出陣だ。我々は大型スクープの数ではテクノロジー業界が束になっても叶わないほど多いのだ―しかもここで言ってるのは企業から事前に説明を受けた情報や、企業に流してもらった情報ではないやつの話だしね。自己評点の時はこれをベースに評価する。抜いたら加点1。抜かれたら失点1。なんとしてでも点はプラスにキープしたい。

毎日9 a.m.起床を心がけてはいる。主治医に言われてることのひとつが、睡眠をきちっと管理することだから。1年前は、陥落するまで働き、8、9時間後に目が覚めると4 p.mとか3 a.m.とかで、そっからまた陥落するまで働く、という繰り返し―そんな生活を4年続けて本当に散々だった。人と交流する機会も沢山ミスったし、友だちへの連絡もおざなりになって、自分でも何がなんだかわけのわからない状態になった。それどころかTechCrunchを始めて5年で体重は50ポンド(22kg)も増えた。目下、主治医の助けを借りながら元通りリセットすべくかんばってるところだ。毎日同じ時間に目を覚ますことが健康管理上一番望ましいことは分かってるんだが、問題は今もそんなに早く眠りにはつけないこと。なので普通は4、5時間睡眠で働き、足りない分は週末ガッと取り返してるよ。

朝起きたら、コンピュータの前に直行だ。これは常時ONになっている。メールをざっと見て特ダネがないか調べ、なんか大事件が起こってたら、自分で書くか、他の記者に任せるか決める。例えばある情報提供者から「グーグルがマイクロソフト買収に動いている。その情報が今日中に外に出る」というタレコミがあったとするよね―いや例えばの話だ。これは大ニュースだから、すぐさまグーグルとマイクロソフトに電話かけて、本当かどうか聞いてみるんだ。

ガチでも、場合によっては会社から報道に待ったがかかることもある。どのようなかたちで初報を打つか会社と交渉するのも、我々の仕事では大きなパートを占める。従来型の記者が交渉に応じるとは思わないし、仮に応じても交渉の存在を認めるとは思わないが、うちの経験では情報ソースはこんな風に言ってきたりするのだ。「そう、さっき買収されたところだ。だが頼む、今これが表沙汰になると取引きがオジャンになる恐れもあるので記事にするのは1週間待ってくれないか?」―他に嗅ぎ回ってる記者が大勢いるとそんな悠長にも構えてられないが、そうでもない限り、ここは起業家の言う通りにする。たぶん半分はこれでボツになるが、対応としては正しい。これで信頼関係が築けるからね。人は信用してない相手には、なんにも喋ってくれないものだ。

普通は11 a.m.ごろまでに火消し作業が全部終わり、受信箱から緊急対応すべき事項が一掃されるので、そこでシャワーを浴び、服を着替えて、犬の散歩に出る。飼い犬はチョコレート色と黄色のラブ(ラドール)、私の一番の友だちだ。

この5月にはシアトルに引っ越した。閑静で、近くに両親が住んでいるので、毎週何回か顔を合わせているよ。3分の2はここで働き、残りはサンフランシスコのオフィスで働く。今はカリフォルニアに家を持ってないので、出張中はホテル住まいだ。

犬に餌をやったら、自分の食い物もなんかこしらえて、デスクに戻る。私の仕事部屋は、まるで洞窟さ。窓には光を完全に遮るシェード。暗がりが好きなのだ。 気が散るものが少ないから。マシンはMacに24インチのモニターを2台繋げて使っている。片方のスクリーンで調べ物をし、もう片方で記事を書く。その方が効率は良い。本当はモニター3台欲しいところだけど、Macは2台しかサポートしてないんだよね。サンフランシスコもマシンは全く同じ構成だ。

普通、1日の半分は情報提供者たちと雑談して過ごす。電話かIMでね。こちらがあんまり詳しく知らない人は、シリコンバレー(というかハイテク業界全般)を見回しても、まずいない。この仕事で一番好きなのは、ネタをとことん追い詰めるところだね。とりあえずドアを蹴破って、散らかったものは後で片付ける…というのが自分流の仕事の流儀。それでかなりうまくいっている。情報提供者には、かれこれ知り合って5年の付き合いになる相手も大勢いる。そういう相手に電話する時は、あいさつも抜きで―いきなり本題さ。みんな、こっちが知りたいことをかなり速攻で教えてくれると期待が持てる人たちだ。

我々が競争に強い最大の武器は、チームも僕も起業家が心底好きなところにあると思う。私はずっと起業家に夢中なのだ。自分の会社は4つ失敗した。TechCrunchが初めての成功らしい成功だが、これだって、まぐれ当たりだ。 本を書くとしたら、起業家を衝き動かすものについて書きたい。私は勝者にも会うし、敗者にも会う。そのほとんどは社会に出れば普通に会計士や弁護士といった完璧に全うな仕事に就ける人たちだ。なのに彼らはほぼ失敗確実とわかりきってるもののために、そのすべてを危険に晒す。そういう人たちを眺めてくると、敗者の方が興味深いこともある。失敗から学べることは1トン分もあるからね。

嫌いな人間とは絶対友だちにならない。例えば私は、デジタル楽曲の話は死ぬほど書いてる。ミュージックレーベルの報道統制は仲間内では有名だ。なんかリークしてやって、マスコミと良好な関係を築くのさ。記者としては、彼らとお近づきになれれば、実はなかなか実入りも多い。分かっちゃいるんだけど、彼らのことは嫌いなんだ。だって彼らは自分のお客様を訴えるんだぜ。まるでダースベーダーさ。そんな見方は、たぶんフェアじゃないかもしれない。が、私の世界観は白か黒で間はない。彼らのことは好きになれない、だから自分からは話しかけない。私の情報提供者はみな本当に心から好きな人ばかりだ。彼らもそれはわかってると思う。彼らは私の無二の友人でもあるのだ。

そんな大事な情報提供者ではあるが、過去実績を覚えておく面になると、これがぐっちゃぐちゃ。最初は頭の中できちんと全部整理していたはずなのだが、この1年のある時点で突如、短期記憶喪失になってしまったんだ。これが40の坂を越えるってことなんだろうか。分からないけど。今はGoogle Voiceとか使って整理している。こちらからかけた電話やテキストメッセージのログはここに全部残している。電話かける時はほぼ毎回、自分のパソコンからこのサービスを通してかける。誰かが自分のGoogle Voiceの番号に電話をくれると、携帯でも家の電話でもなんでも希望通りの電話が鳴る。ヨーロッパやアジアに出張の際も、これがあるお陰で携帯電話の設も楽にできてるよ。

スパイ映画風にタレコミや記事のアイディアを受け取る時の手段はテキストメッセージと携帯だが、私はスカイプも死ぬほど使う。動画のクオリティーは申し分ない。フルスクリーンにすると、あたかもあっちの人間がこっちの部屋にいるようだ。スカイプでは画面共有もできるので、相手がボタンを押すだけで、あちらのデスクトップもこちらから見れる。ビジネスでも随分スカイプのお世話になっているし、最近は友だちと話す時もますますスカイプ頼みになってきた。

広報を通すのはあんまり好きではない。自分はCEOと直接話すのが好きなのだ。もし広報の人が、新規スタートアップのCEOと会うよう勧めたら、必ずYESと言う。だが、広報の人が「一杯やるかディナーを一席設けましょうか?」と言ったら、答えはNOだ。嫌なんだ—そんなの時間の無駄じゃないか。会社の話ならコーヒー飲みながら話すか、スカイプのビデオで充分だよ。なんでわざわざ家族の世間話に付き合わなきゃならない? 知り合いでもないのに。ディナー行く暇あったら、大学時代の友だちか親か、誰でもいいから交際中の相手と行くさ。

普通は週に数本、記事を公開する。TechCrunch始めた最初の頃は日に数本のペースで出していた。それでずっと躁状態。ねずみがレバーに当たると褒美の餌が出る実験、知ってる? 自分のブログに母以外の人から初めてコメントがついたのは、書き始めて3日目だった。これが褒美。やがてみんなRSSフィードを購読し始め、その数は毎日増えていった—10、13、100。自分の場合、そんな絶え間ないフィードバックがご褒美なんだよね。今でも自分の記事につくコメントには目を通す。自分の記事につくコメント数も、ほぼ毎回ピターッと予想できる。大体のコメントは深い考えなしの骨髄反射だが、ディスカッションを深める価値のあるコメントもあるので、その場合はこちらも途中から議論に割り込んでるよ。

TechCrunchは何と言ってもパーティーで有名だ。駆け出しの頃は、ネタ元もパーティーで知り合った人ばかりだった。最近は毎年3回大パーティーで、もっと小さいイベントは5、6回、小パーティーは数回というペースだから、毎月なんかパーティーやってる勘定だ。なるべく全部顔出すようにしてる。この伝統は、私が初めてパロアルトに引っ越した2005年に始まった。ブログでパーティー招待の告知を書いたんだよね。―そしたら10人来たので、ハンバーガーをこしらえてやったのさ。みんなでビール飲んで、暖炉の周りでスコッチ飲みながら、明け方の4時まで起きていた。2週間後、またパーティーを開いたら、今度は20人来た。次は約100人、次は200人。しまいにはベンチャーキャピタリストたちが裏庭で葉っぱ吸って僕のカウチで潰れていたっけね。で、自宅でパーティーやるのは止めた。家が掃き溜めになってたから。 今年の夏は1,000人が集まってくれた。

年を経るごとに、記事にしてくれないと言って怒る人が出始め、そのうち一定の割合いの人たちはとても感情的に逆恨みするようになった。あるスタートアップのことを褒める記事、けなす記事を書けば書いたで、みんな本当に熱く反応するようになり、僕のことを毛嫌いする人も出た。内気なので ―ひとりが好きなのだ― それでちょっと引き篭もってしまい、それがどんどん、どんどんひどくなっていった。自分が引けば引くほど、人に話すのを止めれば止めるほど、ますます多くの人たちが僕をおそらくは傲慢な奴という目で見た。

で、突然、敵がうんといる状態になってね。2008年には、ドイツのカンファレンスの会場で唾を吐きかけられた。その前には殺人予告の脅迫を受ける事件も起こって。その時は自分と両親の身を守るため週7日24時間体制で私設警備を雇わなければならなかった。オフィスは閉鎖され、中の様子を確かめに寄った社員は警察に拘留された。みんなでなんとかその難局は乗り越えたものの、あの全てを経験した私は本当に気がおかしくなりそうだった。で、逃げた。ハワイに1ヶ月。コンピュータも持たずに。ページビューは上がり、万事良好だ。そこで、自分が思っていたほど自分は重要でもなんでもないんだな、と初めて目が覚めた。―それに自分が雇ったチームもなかなかやるじゃないか、と。あれ以来、自分でも本当に肩の力が抜けたよ。今は彼らのことを本当に頼りにしているし、これが本当にいい雰囲気なんだ。

管理はあまり上手い方ではない。私は書いていたいのだ。コーチとプレイヤーを同時にやるのは難しい。加えて、私は気分屋だ。そこでヘザー(Heather Harde)をCEOとして雇った。彼女は安定している。エリック(Erick Schonfeld)はTechCrunch共同エディターとして編集チームの管理を担当している。各々たぶん週3回は話すね。経営会議は一度も開いたことがない。代わりに、Yammerというプログラムを使って、TechCrunchではみんな同じページを見ているように、互いの足並みを揃えている。掲示板のストリーミング版とも言うべきもので、ここには誰でも投稿できて、その内容も全員に見える。記者やエディターが良い仕事をしたと思ったら、みんなが見てる前でハイ・ファイブを送るんだ。誰かがフォーマットをぐじゃぐじゃにしたらそれも指摘してやって、他のみんなもそのミスから学べるようにする。

3 p.m.を回る頃になると、普通は休憩をとる。ヤボ用足しに出かけたり、犬におもちゃ放り投げてくわえてこさせて遊んでやる。この夏は、引っ越した直後なこともあって、家の中のことも沢山やった—箱から出したり、シャワーヘッドを買ったりね。その日の予定によっては、友だちや両親と夕ごはんに出かけることもあるし、ひとりで食べて仕事に戻ることもある。正直言って今の自分の目標は、仕事を軸に据え、その周りにリアルライフをなんとかうまくフィットさせることなんだ。

夕ごはんの後は、普通、コンピュータに戻る。論考・論説を書くのは、この時だ。1本書くのにかかる時間は2、3時間。例えば、7月にはCNNのジャーナリストがヒズボラのリーダーについて彼女なりの考えをツイートして、会社を首になった。―自分の意見持っちゃいけないなんて酷い話だよ、と1本書いた。

深夜働くのが好き。誰にも邪魔されないから。書く時は普通、音楽を聴く。好きなのは、あんまり幸せじゃないハードミュージック――メタリカ、エミネム、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン。

深夜零時まで起きてることもあるし、朝の6時までのことも。何時でも、寝る前はいつも本を読む。たとえ数ページでもいいから。普通はフィクションで、いつも決まって紙に印刷した本だね。好きな本はCatch-22。それから眠りに落ちる、幸せに。

[The Way I Work: Michael Arrington of TechCrunch]



0 comments:

Post a Comment