Charles Zhang (张朝阳), CEO of Sohu.com (China's second largest web portal), told a media forum in Beijing hosted by his company that "China will never have its voice heard on the international stage unless the government doesn't loosen its controls." Reuters has more. China Digital Times has larger portion of his speech translated in English.
中国の社長も変わってきてるんだなあ、とつくづく思ったのが、3日ロイターが伝えた講演の内容。以下に訳しておこう。;
China Digital Timesが講演記録を英訳しているので、もっと聞きたい方のためにそちらの和訳もどうぞ。
私は30になるまで一介の学生で、物理学の奨学生でした。これまで世界の多くの国々を回り、多くのことに関わり、そしていろいろな問題について考えてきました。そこで今日はちょっとお時間をいただき、そのことについて話させていただきたいと思います。
2049年、今日ここに座ってる私たちの多くはまだ生きていて、沢山の子や孫に囲まれているでしょう。2049年の声を聞く頃には、中国の全国民が幸せに尊厳ある暮らしを営み、アメリカ人と直接渡り合える顔になっているんでしょうか? 中国は世界に尊敬される国になっているのか? それを決めるのはひとえに今の、我々一人ひとりです。
現在と2049年の幸せな暮らしの間には、まだたくさんの障壁が横たわっています。栄光の岸に漕ぎ着けるかどうかは、今の私たちが下す決断次第です。賢い決断も、愚かな決断も。いざその時がきて、中国の興隆と富なんて妄想に過ぎなかった、という話になれば、子孫はきっとこの私たちの方を指差して、こう言うでしょう。
「あんたの世代、なにやったの? どうしたらこんな馬鹿なれるの?」
中国人は世界一の働き者です。儒教文化は我々に、実践を重んじ、人生を前向きに生き、常に流れに逆らって上に登るような生き方を求めます。私たちは小さなチャンスからでも富を生み、リソースがほとんどないところでも栄えることができるのです。
中国政府公務員は世界で最も働き者の公務員です。ロシア、ブラジル、インドに比べ、中国社会はもっと汚職に我慢がならない社会です。この30年におよぶ市場改革の結果、働き者な中国人にも労働機会が与えられました。珠江デルタ、長江デルタの労働者は低賃金で日夜問わず製造ラインで働いています。儒教の指導者(公務員のこと)も各市町村で日夜働いています。近隣市町村との競争、昇進、部下の指導、富の蓄積の途上を走るプレッシャーの中で。
こうした中国の勤勉な文化と製造産業の市場化が、「Made in China」の奇跡を生んだのです。今や世界製品チェーンの中流と低流は安い中国製にほぼ独占されています。過去30年の経済の奇跡をもたらした原因は、そこにあります。
この30年の躍進は本当にすさまじかった。だから私たちもみんな成功を祝いたい気持ちで感無量だし、ハイになってると言っていいぐらいです。今は誰も彼も偉大なる国の復活を語り出したら止まりません(Global Timesみたいに)。未だに自分より上の人として崇めている欧米人から賞賛されると、興奮してその声を片っ端からかき集めています。まるで「Middle Kingdom(中華帝国)」が世界の中心として古(いにしえ)の栄光を取り返し、近隣諸国に崇め奉られているかのように。
でもそれは幻想! 欧米人は、我々のことなんてそんな大して考えちゃいないんです!
事実、経済のゲーム(競争、戦い)はまだ予選出場を果たしたばかりです。今これからが決勝進出です。向かう相手は最強かつ最先端の国、アメリカ。もし今の状態が続くとするなら、知的に考えてこんな構図ですよね。「勤勉な儒教精神+中途半端な市場経済 vs. 個人主義+公平かつ完全なる市場経済」。思うに、答えはもう決まったも同然ですよ。悲しいことですが。どうあがいたってアメリカには勝てっこない!
問題の大元は、この中途半端な市場経済にあります。クオリティー(質)とエクセレンス(他に秀でる部分)は完全なる競争から生まれます。イノベーション(新技術)は公正なる競争から生まれる。なのに中途半端な市場経済が毎分毎分この競争を妨げているんですね。
…メディア分野を見ても、中国の制度の枠組みの中では新聞・テレビ局の間に競争と呼べるような競争はありません。だから信頼も尊敬もされないんです。ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズが何か取り上げると、世界中が注目し、伝えた内容を信じます。世界における中国のコミュニケーション力はとても弱い。何故って、信頼できる報道機関がないから。政府が中国ブランドを海外に宣伝するため立ち上げた国営メディアチームも失敗する運命にあります、競争力もありません。何故なら、市場競争から生まれた産物ではないからです。
なら、どうすりゃいいの? そう問う人もいるでしょう。
答えは明白。市場化改革を断固続けることですよ。改革抜きにはもうどうにもならんのです! 完全なる市場競争、公正なる市場競争のないところ、クオリティーもエクセレンスも雇用機会もなし、社会の安定もなければ、中国の復興もありません。
具体的にどうやるのか? 問題は複雑に入り組んでますが、基本のポイントは政府の力を制限し、公平さをあまねく追求することです。最大限の公正さを実現することによってのみ、才能ある個人・企業が頭角を現し、社会に活力と創造性が溢れるのです。さもないと、私たちがこれまで発展させてきたものも結局は完全な市場経済ではなく、パワーエリート資本主義になってしまう。政府はこうした社会から利益を奪うような行為をやめ、公正な競争を保護する方向に主たるエネルギーを振り向けるべきです。
(Translated from Xiao Qiang 萧强's English translation on China Digital Times)
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[張朝陽] 1964年生まれ。清華大学物理学部卒、奨学生としてマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号取得。教授にもらった小切手で帰国後、会社を創業した。趣味は登山。
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[Reuters, China Digital Times] Photo (c) Reuters
中国の社長も変わってきてるんだなあ、とつくづく思ったのが、3日ロイターが伝えた講演の内容。以下に訳しておこう。;
中国第2位のポータル「捜狐(sohu.com)」の張朝陽(Charles Zhang)CEOが3日北京で開かれたフォーラム(同社主催「2010年中国新展望フォーラム」基調講演)で、政府が規制を弱めないと中国の大手メディア企業創出の試みは失敗に終わる運命にあると語った。
「中国の新聞・TV局には競争らしい競争もなく、独立した個性も全くない...だから権威もなければ尊敬もされないのだ」
「ウォールストリートジャーナルやニューヨークタイムズが何か取り上げると、全世界が注目し、信じる」
「世界において中国の発言権はゼロに等しい。何故なら、尊敬を勝ち取ることのできる報道機関がないからだ」(以上、サイトの講演記録より)
中国は主に英語放送局CCTV-9を通して自国の世論をもっと世界に聞いてもらう努力はこれまでもしてきたが、このベンチャー事業も金を注ぎ込んだ割にはそれほど成果は上がっていない。
与党共産党は商業改革の混合薬を処方し、メディア・出版セクターに国の規制・検閲を続けている。重要な政策に直接物申す問題箇所には下に赤線を引きながら。
中国は民間の力を育成し、中国のアイディアや価値感を、変わりゆく一般大衆および、もっと広い世界に向け発信できるメディアを創出したいと考えている。
だが、こうした改革は競争不在のメディア会社を作り、「竜頭蛇尾」に終わる恐れがあると氏は語った。-Reuters
China Digital Timesが講演記録を英訳しているので、もっと聞きたい方のためにそちらの和訳もどうぞ。
捜狐(sohu.com)張朝陽CEO「2010年中国新展望フォーラム」基調講演
2009.02.03. Beijing│原文│English私は30になるまで一介の学生で、物理学の奨学生でした。これまで世界の多くの国々を回り、多くのことに関わり、そしていろいろな問題について考えてきました。そこで今日はちょっとお時間をいただき、そのことについて話させていただきたいと思います。
2049年、今日ここに座ってる私たちの多くはまだ生きていて、沢山の子や孫に囲まれているでしょう。2049年の声を聞く頃には、中国の全国民が幸せに尊厳ある暮らしを営み、アメリカ人と直接渡り合える顔になっているんでしょうか? 中国は世界に尊敬される国になっているのか? それを決めるのはひとえに今の、我々一人ひとりです。
現在と2049年の幸せな暮らしの間には、まだたくさんの障壁が横たわっています。栄光の岸に漕ぎ着けるかどうかは、今の私たちが下す決断次第です。賢い決断も、愚かな決断も。いざその時がきて、中国の興隆と富なんて妄想に過ぎなかった、という話になれば、子孫はきっとこの私たちの方を指差して、こう言うでしょう。
「あんたの世代、なにやったの? どうしたらこんな馬鹿なれるの?」
中国人は世界一の働き者です。儒教文化は我々に、実践を重んじ、人生を前向きに生き、常に流れに逆らって上に登るような生き方を求めます。私たちは小さなチャンスからでも富を生み、リソースがほとんどないところでも栄えることができるのです。
中国政府公務員は世界で最も働き者の公務員です。ロシア、ブラジル、インドに比べ、中国社会はもっと汚職に我慢がならない社会です。この30年におよぶ市場改革の結果、働き者な中国人にも労働機会が与えられました。珠江デルタ、長江デルタの労働者は低賃金で日夜問わず製造ラインで働いています。儒教の指導者(公務員のこと)も各市町村で日夜働いています。近隣市町村との競争、昇進、部下の指導、富の蓄積の途上を走るプレッシャーの中で。
こうした中国の勤勉な文化と製造産業の市場化が、「Made in China」の奇跡を生んだのです。今や世界製品チェーンの中流と低流は安い中国製にほぼ独占されています。過去30年の経済の奇跡をもたらした原因は、そこにあります。
この30年の躍進は本当にすさまじかった。だから私たちもみんな成功を祝いたい気持ちで感無量だし、ハイになってると言っていいぐらいです。今は誰も彼も偉大なる国の復活を語り出したら止まりません(Global Timesみたいに)。未だに自分より上の人として崇めている欧米人から賞賛されると、興奮してその声を片っ端からかき集めています。まるで「Middle Kingdom(中華帝国)」が世界の中心として古(いにしえ)の栄光を取り返し、近隣諸国に崇め奉られているかのように。
でもそれは幻想! 欧米人は、我々のことなんてそんな大して考えちゃいないんです!
事実、経済のゲーム(競争、戦い)はまだ予選出場を果たしたばかりです。今これからが決勝進出です。向かう相手は最強かつ最先端の国、アメリカ。もし今の状態が続くとするなら、知的に考えてこんな構図ですよね。「勤勉な儒教精神+中途半端な市場経済 vs. 個人主義+公平かつ完全なる市場経済」。思うに、答えはもう決まったも同然ですよ。悲しいことですが。どうあがいたってアメリカには勝てっこない!
問題の大元は、この中途半端な市場経済にあります。クオリティー(質)とエクセレンス(他に秀でる部分)は完全なる競争から生まれます。イノベーション(新技術)は公正なる競争から生まれる。なのに中途半端な市場経済が毎分毎分この競争を妨げているんですね。
…メディア分野を見ても、中国の制度の枠組みの中では新聞・テレビ局の間に競争と呼べるような競争はありません。だから信頼も尊敬もされないんです。ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズが何か取り上げると、世界中が注目し、伝えた内容を信じます。世界における中国のコミュニケーション力はとても弱い。何故って、信頼できる報道機関がないから。政府が中国ブランドを海外に宣伝するため立ち上げた国営メディアチームも失敗する運命にあります、競争力もありません。何故なら、市場競争から生まれた産物ではないからです。
なら、どうすりゃいいの? そう問う人もいるでしょう。
答えは明白。市場化改革を断固続けることですよ。改革抜きにはもうどうにもならんのです! 完全なる市場競争、公正なる市場競争のないところ、クオリティーもエクセレンスも雇用機会もなし、社会の安定もなければ、中国の復興もありません。
具体的にどうやるのか? 問題は複雑に入り組んでますが、基本のポイントは政府の力を制限し、公平さをあまねく追求することです。最大限の公正さを実現することによってのみ、才能ある個人・企業が頭角を現し、社会に活力と創造性が溢れるのです。さもないと、私たちがこれまで発展させてきたものも結局は完全な市場経済ではなく、パワーエリート資本主義になってしまう。政府はこうした社会から利益を奪うような行為をやめ、公正な競争を保護する方向に主たるエネルギーを振り向けるべきです。
(Translated from Xiao Qiang 萧强's English translation on China Digital Times)
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[張朝陽] 1964年生まれ。清華大学物理学部卒、奨学生としてマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号取得。教授にもらった小切手で帰国後、会社を創業した。趣味は登山。
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