NYタイムズが伝えた“死ぬまで働く”ブロガーの過酷な労働環境:Blogging Till They Drop - NYT

Blogging all night (techmeme@11:30 April 6, 2008)


Matt Richtel @ NY Times warned this morning that long hours of blogging for minimum wage turns your home into "the digital-era sweatshop" and its stress can kill you. Bloggers, instead of going to bed early, are ready to take on all night (above). I just hope there won't be another who falls...


The accompanying photo on paper edition shows Michael Arrington with a can of RedBull (below).


アメリカで昨年暮れから2人のブロガーの死が相次いだ。


ブログの過酷な労働環境と無関係ではないのではないか? -と今朝NYタイムズが報じ、ブロガーたちが日曜返上で徹夜で反応している(上)。ここから死人が出ないことを祈るばかりだ。


紙版には元サーファーの面影もなく肥えたマイクの写真(Wikipediaと同じ写真)も出ており、キャプションには「ブログの成功が健康の悪化とパラレルに進行中」とある(右下)。手元のレッドブル缶がもの悲しい。以下はNYT記事全訳。




In Web World of 24/7 Stress, Writers Blog Till They Drop

by Matt Richtel, April 6, 2008

長時間労働で過労もままあり、報酬は出来高の人が多いが、縫った服の枚数ではなくブログエントリの本数で決まる。-これがデジタル時代のスウェットショップ。人呼んで「自宅」である。


コンピュータとスマートフォンで武装しネットに完全に繋がったホームオフィスの労働者・起業家。24時間休みないネット経済は彼らに絶えずニュースとコメントの流出を求め、そこから生まれる肉体的・精神的ストレスに悩まされる労働者がますます増えている。


もちろんブロガーはやろうと思えば他の仕事もできるし、ノンストップの仕事は好きでやってる、大きな初期投資抜きで国際メディアを生むチャンスもある、と公言している。が、同時に自分が何かとてつもない間違いを犯してるんじゃないかと、疑問を持ち始める人も出てきた。同じ階級の多忙なブロガー2人が、この数ヶ月の間に相次ぎ突然死したからだ。



先々週フロリダ州North Lauderdaleでテクノロジー専門の量産型ブロガーRussell Shaw氏の葬儀がしめやかに執り行われた。氏は当時60歳、死因は心臓発作だ。昨年12月には別のハイテク系ブロガーMarc Orchant氏が大量の冠状動脈血栓を抱え、50歳で他界している。


他のブロガーも常時オンなネットの世界そのままにニュースや情報をノンストップで流し続けるサイクルから来る緊張で、体重の減少・増加、睡眠障害、疲労、その他の症状を訴えている。


念のため断っておくが、「ブログ死」という正式な症例はない。ブロガー2人の早過ぎる死をもって流行病いと断定するのはもちろん早計だ。そもそも仕事のストレスが死に何らかの影響をもたらしたと断定できる証拠もない。だが、故人の友人・家族、同じ情報を扱う仕事仲間は、2人の死が仕事のスタイルを見つめ直すキッカケになったと話している。


自営で高収入のブロガーも、プレッシャーと無縁ではない。


「私はまだ死んでないがね」-と語るのは人気テクノロジー・ブログ「TechCrunch」創業者兼共同編集者のマイケル・アーリントン氏だ。氏のサイトは何百万ドルもの広告収入を得ているが、代償もかなり大きい。氏はこの3年間で体重が30ポンド増え、深刻な睡眠障害が進み、自宅は自分+社員4人の仕事場に変わったという。「ある時点で精神的に壊れて入院してしまうか、何か他のかたちで影響が出るような気がするね」

「こんなこと、ずっと続けられるわけがない」


ブログで報酬を得ている人がどれぐらいいるかはっきりとは分からないが、数千人は堅い。もしかしたら数万人かもしれない。オンライン経済の発展と、こうした情報ワーカーの新興階級の台頭はパラレルに進んできた。出版はネットに業域を広め、広告がそれに続いた。


エスタブリッシュメントの報道各社でもインターネットで仕事の性質は変わった。みんなバーチャルオフィスを開き、いつでもどこでも働けるようになった。が、この柔軟性には問題もあり、労働者は常にオフィスの仕事のプレッシャーとクリック1個隔てた隣り合わせの状態に置かれている。これでは仕事に憑りつかれた情報ワーカーに家を一歩も出るなと言うようなものだ。


ブログで儲かった人もいる一方、ビジネスの底辺の人は1本10ドルという低賃金だ。しかも賞与はスライド制で、成功するとがんばった分だけ、その褒美に仕事がまたまた増えていく。


スポーツ、政治、ビジネス、セレブなど、考えうる限りのニッチな分野で、ニュースを報じ論評を行うオンラインの記録者は軍勢拡大中だ。中には楽しみで書く人もいるが、その一方で社員・契約社員としてウェブ・パブリッシャー向けに書く人や、利益を念頭に自分でオンラインメディアを始めた人も何千人といる。


中でも一番競争が激しい部門がテクノロジーの動向・ニュースを扱うブログ。こうしたブログは企業のニュースや新製品、企業の失言を誰よりも速く伝える24時間のスクープ合戦の悪循環にいる。


勝った者にはエゴの得点がもたらされ、それが広告獲得に繋がる可能性もある。こういったサイトで働くブロガーは執筆エントリの本数か、書いた記事の読者数で報酬が決まる。オーディエンスはスクープか本数、あるいはその両方で稼ぐのだ。


ゴーカー・メディア(Gawker Media)傘下のサイトのようなところでは、ブロガーに保留料を払った上で、あとはヒット数のベンチマーク達成ごとに賞与を払っている。例えば自分の書くページで月間10万ビュー確保する…といった具合に。そして、このゴールは営業コミッションのように上がっていく。 :書けば書くほど稼ぎも上がるのだ。


大手ブログは大体年収3万ドルからスタートし、多い人で7万ドル、疲れを知らぬブロガーで年収6桁ドル(1000万円)という人も稀にいる。さらに月間何十万ドルもの収入を生み出す小帝国をウェブ上に築いた企業家も何人かいる。だが、ブログを職業にしようと奮闘中の人たちは、がんばっても月収せいぜい1000ドル止まりで終わってしまう可能性もあると言う。


競争は往々にしてスピードが勝負だ。ミリ秒(1000分の1秒)でも他より遅れたら、オーディエンスもリンクも広告収入のおいしい取り分もゴッソリ持っていかれてしまう。


「抜かれるんじゃないかと気が気じゃなくて片時も — それこそ睡眠中まで — 気が休まる暇がないんですよ」とアーリントン氏。


「いっそ太平洋時間で午後8時から夜明けまではブロガーもジャーナリストも一切書くのやめようぜーってことにできたらどんなにいいかと…思わない? そしたら、みんなぐっすり休めるし」。「ところが絶対そうはならないんだ」


競争はすべて、起きている人間に味方する。この仕事ピッタリの男がMatt Buchanan氏(22)。ガジェットニュースを伝えるゴーカー・メディアの人気サイト「Gizmodo」で働くBuchanan氏は、NYブルックリンの小さなアパート暮らしで寝室がそのまま仕事場だ。

夜は大体5時間睡眠、まともに食事も摂れない時も多いが、氏の場合ちゃんと栄養は摂っていると語る。- コーヒーに毎日プロテインのサプリを溶かして飲んでいるのだ。


が、誤解してもらうと困るのだが、ニューヨーク大学を出たばかりの氏は今の仕事が大好き。最新の製品、最高の製品の話を世界中の読者と語り合いながら記事に書き、それでお金がもらえるのだから最高だと言う(いくらかは教えてくれない)。


「1日何千人という人が自分の書いたものを読んでくれる。 — これはすごいことですよ」。そして、やはり疲れる。「ただ横になりたいだけ、ということもありますね」

休むつもりもないのに、うっかりコンピュータで眠りこけてしまうこともある。


「連絡して返事がないと大体分かるんです。マットのやつ、また陥落中だなって」-Gizmodoのブライアン・ラム編集長はこう語る。「これまで4回か5回、ありましたね」


ラム氏はマネージャーの肩書きな分、収入もかなり大きいが、仕事はさらにハードだ。サイトを整理し競争力のあるものに保つためサンフランシスコの自宅兼オフィスで徹夜で働くことで知られている。元タイ流ボクサーの氏は、自分はこの拷問に耐えていけるものを既に備えていたのだ、と語る。


「顔面パンチは慣れっこですよ」と氏。「だから、この仕事が得意なんです」


スタッフがブログ書いて燃え尽きてしまうんではないかと心配なラム氏は、休日や長期休暇まで取るよう部下に薦めている。―だが彼らの眼前には社内、社外、金銭面のプレッシャーが大きく立ちはだかっている。ラム氏は、“PPC(クリック課金型)”経済に変わったせいで、読者トラフィックと収益がジャーナリズムより重視されるようになってしまったのだと指摘する。


Shaw氏のケースでは、ストレスが死にどういった役割りを果たしたかは不明だ。13ヶ月前から交際のあったEllen Greenさんは、確かに自分で自分に課したものには違いないが、そのプレッシャーたるや傍目にも過酷なものだったと振り返る。特に友人のOrchant氏が亡くなってからは、どうしたらもっと健康的なライフスタイルを作り上げられるか、Shaw氏と2人よく話し合ったものだという。


Eleenさんは言う。「ブロガーのコミュニティではこれを見て、みんな言ってます。: ‘ああ、なんてことだ。こんな短期間でこの分野に欠かせぬ存在の2人の身にこんなことが降りかかるなんて’」。誰もが今、「これが自分にどう関係あるのだろう?」と自問している。


Shaw氏はデスクで死んだのではない。テクノロジー業界のカンファレンスの取材で飛んだサンノゼ市内のホテルで死亡した。ZDNet編集者に急を伝える最後のメールにはこうあった。:「なんか体調がおかしい。投稿はこのぐらいにして休んで今日遅くか明日には再開します」


[In Web World of 24/7 Stress, Writers Blog Till They Drop]

Comments

  1. 死ぬまで働くのは日本人だけじゃないんですね~。


    余談:
    今の仕事の客先(日系企業)と契約しているカナダ人エンジニアに「また日本人と仕事したいかい?」と聞いたところ「No way」との返事が返ってきました。日本流の仕事習慣は大変だとのこと。
    「日本人の宗教は会社だからね」と言うと「日本人にとって会社は家族のようだね」とのこと。まぁ、そんな人は多いかも?ですね。

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  2. このニュースの隅っこの隅っこではこんな話が…
    http://www.j-cast.com/2008/04/10018844.html
    池田先生は他人のブログを読んでないといってたのに他人のBlogをDis。

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  3. >日本ではカットペーストしてページランクを
    >上げようとする変てこなブログばっかりですが、

    笑  

    そういや、こないだasiajinが「40% Japanese Blogs are spam」って書いてましたね。

    それにしてもJ-Cast…

    >有名な「TechCrunch」の運営者が「神経が参ってしまって
    >病院にいく事になりそうだ」「耐えられない」と漏らす姿も報じられている。

    ↑ いく事になってしまってるし! 近いけど!

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