ケヴィン・ベーコンとベーコン数:Average Kevin Bacon number

In 'The Tipping Point' (its original article), Malcolm Gladwell is talking about Six Degrees of Separation on p.46-48. It says Bacon ranked only 669th in terms of "connectedness." See The Cewnter of the Hollywood Universe for updates. You can read his original New Yorker article here.

Why Bacon? When I first heard about the Small World Phenomenon, Dalai-Lama was in the center of the whole universe. The answer is here. You can also check The Center of the Hollywood Universe here.



なぜ、ケヴィン・ベーコンなんだろう。

いや、「Six Degrees of Separation (6次の隔たり)」の話。今ちょうど読んでる本が2000年に流行ったマルコム・グラッドウェルの「The Tipping Point」(邦訳)で、このp.46-48にベーコン数のことが出てくるんだよね。

スモールワールド理論のことを初めて聞いた時は確か、「地球上の人類はみな知り合いを辿ればダライ・ラマに通じる」という話だった。そこには何か森のずっと奥にひっそりと湧き出る清らかな泉のような癒しというか、神秘があった。


どこでどうベーコンに摩り替わったんだ?


きっかけは1994年のインタビュー
@akaエントリからWikipediaを読んでみた。1994年「The Wild River」封切りに合わせ専門誌インタビューで「ボクはハリウッド中の役者という役者と共演してきた。共演してない役者さんも共演者を辿れば必ずボクに繋がると思うよ」と、あたかも自分がハリウッドのヘソであるかのような言葉をウッカリ口にしたのが始まり、とある。

「6次の隔たり」という言葉こそ出ないが、前年の映画「Six Degrees of Separation」がこの分野への関心を高めていた折も折、言ってる内容は「6次の隔たり」そのまんまだ。そして偶然にもスモールワールド理論をハリウッド文脈で語るKevin Baconその人は、名前もSeparationとピッタンコ韻が符号するのであった。


6次のベーコンとベーコンの神託
ベーコン発言と同じ年、3人の大学生がある遊びを考えついた。その名前は「Six Degrees of Kevin Bacon (6次のケビン・ベーコン)」。@akaさんも書いてるけど、これはランダムに役者を選んで本人をゼロとし、共演者は1、そのまた共演者は2と辿り、ベーコン最短コース一番速く考えついた人が勝つという、しょうもないゲームだ。

アホな学生でも簡単にできるようバージニア大コンピュータ学科のポスドクBrett Tjaden氏(今は助教授だ!見るからに優しそう)が大学ウェブに公開したのが自動算出フォームで、TIME誌が「Oracle of Kevin Bacon(神託)」と報じ、大ブレイクのきっかけ(Tipping Point)となった。

フレッド・オットは出演映画過去2本。そのそちらも一人芝居なので「ベーコン数不定」あるいは「無限大」。従ってゲームの起点にはなれない。いわば、しりとりの「ん」のような存在の俳優として、ぜひ記憶にとどめておきたい。


ハリウッド全体のベーコン数平均
では、日経平均みたいに、ベーコン数平均を出して遊んでみよう。ハリウッド全俳優のTV&映画出演データベースを元に次数別人数を割り出すフォームはココにある。俳優の名前を入力してボタンを押すだけだ。因みにKevin Baconで検索すると、こんな表が出てきた。

ケビン・ベーコンを中心に見た
ハリウッド人脈相関図(10.07.2006現在)
(source: The Oracle of Kevin Bacon - How Good The Center Is?)


ベーコン数人数
0
1
1
1948
2 174688
3 506507
4 122951
5 8750
6 867
7 86
8 13

リンク可能な俳優数: 815811
リンク可能な俳優の加重合計: 2412307
ケビン・ベーコン数平均: 2.957


一番下の2.957が平均値で、小さい人ほど顔が広い。本は6年前のものだから「ベーコンの顔の広さはNo.669」とあるが、最新ランキングでは上位1000から脱落している。作品を選ぶようになったのね。なんまいだー。


一番顔の広い俳優は誰?
トップは出演179本のジョン・ウェインではなく、ロッド・スタイガー。俳優生活が短いベーコン、半分以上がウェスタンのウェインと違い、スタイガーはオスカーも取ればB級映画も出る、ムッソリーニもナポレオンもアル・カポネもこなす超ベテラン。「役者あるところ上下左右ありとあらゆる世界とサブカル、ニッチ、階層に出入り自由な史上最強の顔パス俳優」(p.48)なのだ。

参考までにココの友だちが教えてくれたんだけど、Six Apartって名前、あれはミナ・トロットとベン・トロットの創業者夫妻の誕生日が6日違いなことから来てる。拙ブログでお世話になっているSeven Degreesさんも6°のもじり


"The Tipping Point"
ところでこの本は、ワシントンポスト元NY支局長のグラッドウェル氏が独立後、雑誌ニューヨーカーに寄稿した「Six Degrees of Lois Weisberg」という記事から生まれた。あとがきを読むと、フリーだった彼の才能を編集者が見込んで雇い、雑誌の担当には回さずひたすら本の執筆に専念させたようだ。慧眼と言うべきか。読みは当たって続編Blink (邦訳)と一緒に死ぬほど売れた。

売れるのもムリはなくて、これはセミナーで有難く拝聴するアゴの上がった儲けノウハウでは決してない。たまたまカフェで隣合わせた物知りな人がマグ片手にタラタラ喋る人間社会の不思議な巡りあわせと現象の謎解きだ。面白くて続きをねだっているうち本1冊になりました、みたいな好著。

人物描写がとにかくうまい。舌を巻くほど。あと、6次の隔たりについても皆が均質に隔たってるわけじゃなくて「繋ぐ人」(ちゃめさん!)がいることなど、「へ~」という話がたくさん詰まってる。なにより文章がきれいで、それは著者サイトをちょっと読むだけで分かってもらえると思う。

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Comments

  1. おお。The Center of the Hollywood Universe これがウワサのUVAの大プロジェクトですか。入力手間かかったろうな。それともimdbあたりからこっそりスクレイピングしたんでしょうか? 

    上位は納得の顔ぶれですが、浅学の悲しさ、トップ50人中以下の5人はどうしてもイメージが浮かばないです。

    Pleasence, Donald
    Stanton, Harry Dean
    Black, Karen
    Kier, Udo
    Dobtcheff, Vernon

    さとみさんはいかがですか?

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  2. ちわ!私もギブアップ。で、調べてみました。


    Pleasence, Donald
    :1919年英国生まれ。元空軍で第2次世界大戦で1年間収容経験アリ。戦後は鉄道勤務、駅長などやる。

    Stanton, Harry Dean:この道半世紀。1957年から映画出演80本超+テレビ出演570話以上。

    Black, Karen:15歳で大学に入り2年で卒業。1957年デビュー。

    Kier, Udo:1944年ドイツ生まれ。生まれたその日の夕方、もう少し一緒にいたいと母親がUdoを手許に置き、それ以外の子どもは全員連れ帰られた病院で爆撃に遭う。Udo親子は瓦礫の下から無事救出された。

    Dobtcheff, Vernon:ロシア生まれのフランスの俳優。この人だけは大好きな映画「Before Sunset」の本屋の主人、でピンと来ました。

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  3. うわー。satomi さんは文章の構成が上手いなぁ。流れるように読ませますねぇ。私も精進しなくっちゃ。

    この記事はベーコン数がらみの蘊蓄が詰まっていて楽しいですね。読むだけで勉強になります。
    six degrees ネタは、もう一つ持ってるので、後で投稿しますねぇ。

    PS.
    ---
    > Six Apartって社名...

    そうそう。誕生日が six [days] apart. なんですよぉ。しかし、日本では、社名が禍してか不動産の会社と間違えられたりするそうです ;p

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  4. バラバシの「新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く」(Linked: The New Science of Networks)でも、ベーコン指数を詳しく取り上げているんだけど、実際にIMdbデータで検証したら、リンクの多い俳優ベスト1000中、Kevinは876番目だったと書かれてた。また、現実はSix Degreesはちょっと大げさというかたぶん米国内だけで、NEC北米研究所のデータを基にWeb数全体で計算したら18.59だとか。

    この本はとってもオススメ。

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  5. >SixApart
    笑。LINK追加させていただきました。

    Linkedですね。アメリカではSalesRank#9,596/レビュー数79、和訳は5,100位

    Tipping Point(SalesRank#30/レビュー数696/和訳は230,777位)よりバラバシが売れるなんて、ちょっと興味あります。取り寄せてみますね。

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  6. >「繋ぐ人」
     わーい。
     有難うございまーす。
     意識はしていなかったのですが、嬉しいですね。
     クリボウさんのように「場」を作ってくれる人がいるからこそ、ですけどね。 =)

    追記:
     xpotechi さんの Seven Degrees の由来はやはりここでしたか。
     皆さま、深いブログ名を付けておられますね。

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