August 31, 2009

湊かなえ『告白』とエリート教育の不在:"Confession" by Kanae Minato - When Gifted Kids Lack Challenge

I read Kanae Minato's debut novel KOKUHAKU (Confession), the winner of this year's Honya Taisho (Booksellers Award) in Japan.

The story unfolds as a junior high school teacher and single mother, Yuko, announces to her whole class that it's her last day at school and the reason why she's leaving.

Following her shocking tale in the first chapter entitled The Clergyman (which alone received the New Writers award as a short story back in 2006) are six more first person accounts. -- Boy A is an exceptionally highly gifted child who feels nobody could recognize his talent in this remote countryside, while Boy B is above average student whose mom tries to help him build self-esteem by encouraging him but, the more she tries, the more he feels he cannot live up to his mother's expectation. -- ...I'd better leave out the rest, because guessing who comes next is one of the factors that make this a real page-turner.

It somehow reminds me of SMAP's "Sekai ni hitotsu dake no hana (A Flower Unlike Any Other in the World)" (Lyrics 1, 2) that's been selling like hotcakes since 2003 (when my son stayed there for weeks, it was a song of the month at school). The song is about diversity; each one of us has different talent and, as long as we do our best, we don't need to be the number one.  It's fine, but how about the gifted children?  Who teaches them the social responsibility, when national media focus on sensationalism?  The story sheds light on them.

Maybe Japan needs GATE program. No?


2009年本屋大賞の湊かなえ著『告白』を読んだ。

物語は第1章「聖職者」(2006年小説推理新人賞受賞)に続く6つの関係者証言から成る。

Aは成績優秀なんだけど、一番才能を認めてもらいたい人に認めてもらえない。Bは「男の子は良いところを褒めて自信をつけさせなくては」と信じる母に愛情いっぱい育てられるが、いくらがんばっても成績は中の上。励ましを負い目に感じている。―ネタばれになるので残りの人のことは書かないが、話がダークな割に登場人物はみんなナイーブで、血に飢えた殺人鬼みたいなのは出てこない。

読んでて、なんとはなしにSMAPの2003年のヒット『世界に一つだけの花』の「ナンバーワンにならなくてもいい もともと特別なオンリーワン」を連想してしまった。息子が夏の体験入学でお邪魔した先の学校で毎日歌ってたので覚えてるんだけど、きっと執筆時期と重なるんじゃないかなーと。

学校では優等生は後回し。模範を示すべきマスコミは連日センセーショナルな事件の垂れ流しで、犯罪者はまるでヒーロー&ヒロイン扱いだ。異常な人間ばかりが世間の注目を浴びる中、優等生は犯罪に走った――と。最後まで読むと別の動機が浮かび上がってくるわけだけど、大雑把に括るとそういう話かな?

「こんな週刊誌1週間分の見出しを全部練りこみました…みたいな話あるわけないだろ~」とロジックの綻びを探しつつ最後まで読んでしまったが、これは「エリートに誰が倫理や社会責任を教えるの?」という、けっこう大事な問題提起が織り込まれた作品だと思う。

GATEプログラム


アメリカと言えば、競争より個性を伸ばし、ひとりひとりのセルフエスティーム(自己評価)を高める教育理念の輸出元みたいなもんだが、才能も個性のひとつとして潰さぬよう取り組んでいる。

例えばカリフォルニア州ほか一部の州では小学校の段階から生まれつき頭の良い子、才能のある子だけ選別し、能力に合うカリキュラムを提供する「GATE(Gifted and Talented Education)プログラム」なんてものがある(解説)。

GATEというと聞こえはいいが、単に「宿題がどっさり出るクラス」である。この小説読んで、「そうか、こうしてIQキッズがその有り余る才能で暇潰しに爆弾仕掛けたり馬鹿な真似しないよう目をつけているのね」と、ひとつ賢くなった気分だ。

うちの市の場合、クラス担任から推薦を受けた児童が一ヶ所に集まり、IQテストを受け、決まる。浮かれ調子の保護者・児童を前に教育委員会GATE担当者がお祝いの言葉もそこそこに伝えるのは、「Gift(天賦の才)をもって生まれた者は、これを社会に還元する責任を負う」という、重~いお話。

要するに、「生まれつき頭がいいのはもう分かった。これから変な点とったらそれは君のせいだからね。Giftは君一人のものじゃない。社会の共有財産なんだ。慢心するなよ」と。

こういう教育が日本にも必要なのかも…。

August 22, 2009

Did You Know 3.0 - 2008 Latest Edition - Japanese



This is the updated version of "Did You Know?" originally created by Karl Fisch and Scott McLeod for teachers in Colorado.  I added Japanese subtitles with dotSUB.  I wish I could change the time frame of the transcription!

Did You Know
Did You Know 2.0
Did You Know 3.0
(related: Rise of the Rest)

コロラドの教師が2006年に教員のブレインストーミング用に作って日本でもAdInnovator近江商人JINBLOGFPNで話題になった動画『Did You Know』の第3版に字幕をつけてみた。

字幕in.がうまく表示されなくて、多言語対応のdotSUBで誰か残した字幕に上書きしてしまったのだが、映像より早く表示されるのはなんとかならないかな…。原文拾った人しかフレームは動かせないみたいね。終わってから調べたら、もっときっちりシンクロしてるニコ動からの転載もあったので見づらい人はそちらで! 

[摂訳]
* 知ってるようで知らない話
* もしもあなたが中国で百万人に1人の逸材だとすると
* …あなたレベルの人はもう1300人いる
* 中国はもうじき世界最大の英語使用国
* インドでIQ上位25%の人口は
* …アメリカの全人口より多い
* つまり「インドの成績トップクラスの児童は、アメリカの全児童より多い」
* 2010年最も需要の高い職種トップ10は
* …2004年には存在しなかった
* 我々が今教えている学生は、まだ存在もしない職種で将来働き…
* まだ発明もされていない技術を使い
* いまだ問題と見られていない問題を解決する人たち
* 米労働省推計によると今の学生は38歳までに転職を10-14回経験する
* 働く4人に1人は今の会社に勤続年数1年未満
* 2人に1人は勤続5年未満
* 米国で昨年結婚した新婚8組のうち1組はインターネットで知り合った
* マイスペース登録ユーザーは2億人超
* マイスペースが国家なら世界5番目の大国(インドネシアとブラジルの間)
* ブロードバンドネット普及率世界一の国はバミューダ。米国19位、22位に日本
* 我々は指数関数的に膨張する時代を生きている
* グーグル検索は月310億件
* 2006年、この数字は27億件だった
* B.G.(グーグル紀元前)、これらの質問は誰に投げていたのだろう?
* 世界初の商用テキストメッセージが送信されたのは1992年12月
* 今や1日に送受信されるテキストメッセージ件数は全世界人口を上回る
* 利用者5000万人達成にかかった年数: ラジオ38年、テレビ13年、インターネット4年
* iPod 3年、フェースブック 2年…
* 1984年、インターネット端末数は1000だった
* 1992年、インターネット端末数は1,000,000
* 2008年、インターネット端末数は1,000,000,000
* 今の英語の語彙は約54万語
* シェイクスピアの時代の約5倍
* ある推計によると、NYタイムズが1週間に伝える情報は
* 18世紀の人が生涯かかって触れる情報量に匹敵する
* 今年1年で生まれる情報は推定4エグザバイト(40億ギガバイト)
* 過去5000年間に生まれた情報量を上回る
* 新しい技術の情報は2年で倍増する
* 工学部でこれから4年学ぶ学生は…
* 1年目に学んだ内容の半分が3年目には古びている
* 日本のNTTは、毎秒14兆ビットの情報を単線の光ファイバーに通す実験に成功した
* これは毎秒CD2660枚=通話2億1000万回に相当する
* その情報量は半年で3倍に増え、向こう20年間このペースで伸び続ける見通し
* 2013年までには人間の脳の計算能力を超えるスパコンが誕生する
* 2049年までには1000ドルのコンピュータ1台で全人類の計算能力を上回る
* このプレゼンの最中にも…米国では67人の赤ちゃんが生まれ、中国では274人、インド395人
* そして51万8210曲が違法ダウンロードされ…と読む間にも69万4000曲
* いったいこれは全て何を意味するのだろう?
* 製作:Karl Fisch、編集:Scott McLeod、テープ起こし:dreig (http://elcaparazon.net)、sinmix


以下は2.0の秀逸な訳。



[Official Page - Shift Happens]

August 18, 2009

ホームレスのクリエイティブな看板:Awesome Homeless Guy Signs

Blessed are those who never lose their sense of humor in whatever situation.  I've seen them countless times.  Maybe it's time to spare some more bucks in my dashboard for next time...

逆境にもめげずユーモアを発揮してしまうホームレスの人たちの秀逸な看板25選よりピック。いるいる、特にサンフランシスコ!と思いながら見てしまった。この次通りかかった時のために車に小銭用意しとこ…。


 
リンジー・ローハンと先週寝た者です。どうかお恵みを」


 
「ホームレスなジェダイ

「昼飯しよう。あんたのツケで」

 
「アルコール研究にキャッシュくれ」

  
「ビール、ポット(大麻)、フッカー買う金くれ
(いや、あんたには少なくとも迷惑かけてないでしょ)」


 
「CGIに仕事とられた。助けてくれ」


 
「チェンジ(小銭)が欲しいのはオバマだけじゃない」

[25 Awesome Homeless Guy Signs]

アップルが世界最大級のデータセンター着工へ。狙いはクラウド進出?:Apple Getting into the Cloud?



We all sort of knew this coming; Google and Apple will sooner or later criss-cross in each others' ways.   Rich Miller of Data Center Knowledge who exclusively reported Apple's top secret $1 billion data center project in North Carolina,  took questions by Leander Kahney of CultofMac.

Before reading it, I was amazed by the simple fact that there's such a medium as "online trade magazine devoted to the data center industry"!  After reading through the interview, I was stunned twice at his depth of knowledge.  My favorite quotes;

"Many cloud enthusiasts say that cloud computing will eliminate the need for data centers. In reality, the only thing will change is the owner of the building. All the applications and data that are moving into the cloud will live on servers in brick-and-mortar data centers. The companies that are building the biggest data centers tend to also have the biggest cloud ambitions. "
Yeah, right.  We'll eventually end up in data center.


グーグルのエリック・シュミットCEOがアップルの取締役を辞めたのは、ChromeとAndroidがアップルの中核事業に被るから…というになってるが、実は逆で、アップルがグーグルの中核事業に手を出すからかもよ? という話がじわじわ浮上してきた。

データセンターの動向を追うオンライン業界マガジン(そんなものがあること自体驚きだが)「Data Center Knowledge」創設者兼編集者Rich Miller氏がリーアンダー・ケイニー(Leander Kahney)記者に語ったところによると、今月アップルがノースカロライナ州メイデンで着工する新データセンターは「ビル1棟に床面積約50万平方フィート」で、完成すると「世界最大級のデータセンターとなる」そうだ。

「東部の情報ハブにする」とアップルは言ってるけど、西海岸の今のデータセンターは10万平方フィートちょいと出る程度。差があり過ぎる。こりゃMobileMeとかiTunesとかのケチなもんでは説明がつかない、ひょっとしてグーグル十八番のクラウドをアップルもやるんじゃ? …というわけね。

インタビュー全訳でどうぞ。

Interview: Apple’s Gigantic New Data Center Hints at Cloud Computing | Cult of Mac

CoM: 最初にアップルが新データセンターを建てる理由をどうお考えでしょうか?
Miller: アップルはこれまでノースカロライナ(NC)の工場のついてあまり多くを語っていない。同社の東海岸のデータハブということぐらいだ。アップルは西海岸のデータセンターも加州ニュワークに持っている。僕が取材した地元自治体の人たちは、Mobile MeとiTunesストアのデジタルコンテンツのサポートに主に使うのではないかと話していた。何よりもこちらが知りたいのは、アップルが既存サービスの成長を支えるのに今よりかなり大きな設備が要るのか、それとも将来の新サービスのために規模増強しているのか、というところだ。

CoM:  アップルがクラウドコンピューティングのアプリ ―例えばiLifeのクラウド版など― のために建造する可能性は?
Miller: ノースカロライナの建設計画をめぐる有力な説には、アップルが将来大きなデータセンター容量が必須のクラウドコンピューティングサービスを計画している、という説もある。クラウドコンピューティングは今注目のトレンド。アップルがこれについて深く考えてない、人と違う考え(think different)を持ってないなら、その方が驚きだよ。クラウドに熱狂する人の多くは、クラウドコンピューティングでデータセンターは不要になると言う。現実にはビルの所有者が交代するだけ。クラウドに移行するアプリとデータは全部これからもブリックのサーバーで生きていくのさ。最大のデータセンターを建てようとする会社は、えてしてクラウドの野望も最大だ。

CoM: ノースカロライナの新データセンターの大きさは? 大、中、小?
Miller: 初期設計プランではアップルは、ビル1棟の中に延べ約50万平方フィートのデータセンター用スペースを用意する計画だった。その通りなら世界最大のデータセンターのひとつになる。比較のため言うならアップルが加州ニュワークに抱える既存のデータセンターは10万平方フィートちょい。最新の独立企業が抱えるデータセンターは10万から20万平方フィートが相場だ。つまり、これはビッグアス(めちゃくちゃデカい)なデータセンターと呼ぶにふさわしいものだ。


CoM: これに匹敵するのは何? 具体的な事例は何かご存知ないですか?
Miller: ここ数年は、現代データセンターの展望を塗り替える新設備が一握りだが登場した。マイクロソフトがシカゴに建てた新センター、(Switch Communicationsが所有する)ラスベガスのSuperNAP、フェニックスのコロケーションセンターPhoenix ONEなどだ。どれも面積は40万平方フィートを下らない。こうしたデータセンターは巨大なデータ量に対応するようデザインされており、デジタル経済への移行が加速している現われだ。デジタルアセットはすべて(メールも画像も動画も、そして今度はバーチャルマシンも)、より大きな、より沢山のデータセンターへの需要を生んでいる。

CoM: アップルがノースカロライナを選んだ理由は? 尋常じゃなく大きなパイプがある? 近場に巨大発電所があるとか?
Miller:  地方のノースカロライナを選んだことから考えると、アップルのボトムラインは接続性よりコストにあるんだろう。NC州メイデンの予定地は、グーグルの巨大データセンターからさほど遠くない場所にある。グーグルと言えば普段から格安電力、節税優遇を追及する会社だ。カリフォルニアの電力はキロワット時あたり7~12セントもするが、デューク・エナジー(Duke Energy)の電力は約4~5セントで済む。しかもアップルは最高の税金優遇策を出した方が勝ち、という具合にバージニアとノースカロライナの両州を競り合わせることで、税金優遇策を最大に引き出した(データセンターの用地選びでは人気の戦略)。

大手には分散型データセンターを使ってレイテンシーとコンテンツ配信コストを管理する企業もある。それもアップルは考えているかもしれない。同社はCDNの主要顧客だからね(アップルはAkamaiとLimelight Networksの両方を使っていると僕は睨んでいる)。Facebookはバージニアにデータセンター新設を決めたキー要素はレイテンシーだと欧州に言った。それに先立ちMySpaceもLAにデータセンターを新設したが、あれはCDNへの依存を減らすのが目的だった。しかしいずれのケースも企業は自社のトラフィックを管理するため、他の多くのネットワークと接続できるインターネットのハブを求めた。これ(SNSの会社が求める情報ハブ)はノースカロライナのような地方では確保できない。よって、アップルのフォーカスは接続性よりもコストやスケールにあるということになり―これまたクラウドというフォーカスを示唆するのだ。

Related:maclalala2「アップルの巨大データセンター」(←同じくMillar氏が5月に書いた記事「アップルが10億ドルを投じてiデータセンター建造へ」の全訳)