January 14, 2013

悲しい英語の婉曲表現byジョージ・カーリン(訳):George Carlin - Euphemistic Language

video: George Carlin - Euphemistic Language

ジョージ・カーリンが生前録音した「Euphemistic Language」が面白かったので耳訳しておくね。

--

婉曲表現(Eupheminstic Language)って嫌だね。
ほら、本当のことを誤魔化す言葉のことさ。

米語は婉曲表現だらけ。アメリカ人は現実直視できないから、現実から自分を遮断するためにソフトな表現を使うんだけど、これが世代を重ねる度に酷くなっている。

例えば、戦場で兵士がストレスたまって発狂寸前になることがある。その心理状態を…

左下の兵士がそれ。こういう目(thousand-yard stare)になる (c) British Government

第1次世界大戦の頃は「Shell Shock」と言った。シンプルでダイレクト、正直な言葉だ。シェル・ショック。音節も2つしかない。言葉そのものが砲弾だ。それが80年以上前ね。1世代くだって…

第2次世界大戦の頃には全く同じ状態が「Battle Fatigue」となった。4音節に増え、長くなった分、あんまり痛みが感じられない。「ティーグ」って言う方が「ショック」よりナイスだしね。

1950年代初頭、朝鮮戦争では全く同じ状態が「Operational Exhaustion」となった。8音節に増え、人間臭さが完全に抜け、なんだか車の話みたいだ。

15年後、ベトナム戦争では全く同じ状態が「Post-Traumatic-Stress-Disorder」となった。同じ8音節でも、間にハイフン入りまくり。痛みはジャーゴン(難しそうな専門用語)の影に完全に葬り去られた。ベトナム帰りの兵は「シェル・ショック」って呼ばれた方が実感あったんじゃあるまいか。

まだある。

「toilet paper」は「bathroom tissue」になった。
「sneakers」は「running shoes」
「floss」は「dental appliances」
「medicine」は「medication」
「information」は「directory assistance」
「dump」は「landfill」
「motel」は「motor lodges」
「house trailers」は「mobile homes」
「used cars」は「previously owned vehicles」
「room services」は「guest room dining」
「riots」は「civil disorders」
「strike」は「job action」
「zoo」は「wildlife park]
「jungle」は「rain forest」
「swamp」は「wetlands」
「glasses」は「prescription eyewear」
「garages」は「parking structures」
「drug addiction」は「substance abuse」
「soap opera」は「daytime drama」
「gambling joint」は「gaming resort」
「prostitute」は「sex worker」
「theaters」は「performing art center」
「wife beating」は「domestic violence」
「constipation」は「occasional irregularity」

自分が子どもの頃は具合悪ければDoctorに行って、その紹介でHospitalに行けば別のDoctorが診てくれたものだ。今はhealth maintenance organization所属のfamily practitionerに行って、その紹介でwellness centerに行けばhealth care delivery professionalsが診てくれる。

貧しい人は昔、slamに住んでいた。今はeconomically-disadvantaged-occupied-substandard-houses-inner-cityに住んでる(訳注:ジョージ・カーリンはスラム育ち)。

スラム住人の多くはbroke(無一文)だ。あれはnegative cash flowなんかじゃ絶対ない。broke。

会社もfire(クビ)。managementにcurtail redundancy in human resource areaされてもはやviable members of workforceじゃなくなったってことさ。

---


どれもこれもsmugでgreedyでwealth-fedな白人が自分の罪を隠すために発明した言葉さ。

CIAは人をkillなんかしない。neutralizeしてるだけ。その地域をdepopulateしてる。
政府はlieなんかつかない。engages in disinformationしてるだけ。
ペンタゴンは放射線量測る施設をなんと「Sunshine Unit」と呼んでいる。

イスラエル人の人殺しはcommandersで、アラブ人のcommandersはterrorists、反terroristsはなんとfreedom-fightersだ。

まあ、crime-fightersはcrimeとfightする人、fire-fightersはfireとfightする人だからね。でも、freedom-fightersがfightするのは一体なんなのさ?

中にはなんだそれは…というソフト表現もある。空港アナウンスでよくこう言うよね。

「passengers in need of special assistance(特別なアシスタンスが必要なお客様)から先に搭乗案内いたします」

cripples。シンプル、正直、ダイレクトに、そう呼べばいいじゃないか。恥ずかしいのか? 聖書の英訳にも出てくる言葉だ。「Jesus Heals the Crippled Man」*って、ちゃんとそう書いてる。あの状態を表現するのに単語6つも要らないよ。

しかしもう今の社会にcrippleはいない。「the physically challenged」な人がいるだけだ。「differently abled」とも。

「handicapped」も禁句で、今は「handicapable」である。

まったく何を考えているんだろうね。呼び方かえたら状況が変わるとでも思ってるのか。おんなじじゃないか。

今はde*fもいなくなった。hearing impairedな人がいるだけだ。
blindもいない。partially sightedかvisually impairedな人がいるだけだ。

stupidな子どももいない。learning disabilityを抱える子、minimally exceptional(最小限優秀)な子どもがいるだけだ。自分の子どもがそう呼ばれたらどう思う? ポジティブだけど嘘バレバレじゃないか。

「おたくのお子さんはminimally exceptionalです」(5:45-)

な? 

「ugly」とも呼べない。心理学者は「those with Severe Appearance Deficit(SAD)」と呼ぶ。
「old」な人もいない。みんな死ぬ前は「senior citizens(直訳は上級市民)」って呼ばれるのだ!

百歩譲って「senior citizens」は甘んじるとしても、自分が絶対呼ばれたくないフレーズは「90 years young」。なんと悲しい言葉だ。年取ることがそんなに怖いのか。oldって言葉も使えない。antonym(反意語)まで使って。

そりゃ誰だって年取るのは怖い。死にたくなんかいない。でも死ぬよね。死ぬんだ。だから自分で自分を誤魔化す―。

かく言う自分も40になった時、誤魔化し始めた自分がいた。鏡を見て、こう思ったんだ。「Well, I guess I'm getting...older」。「older」の方が「old」よりはマシ。なんか先があるみたいじゃないかってね…BS。「I'm getting old」でいいじゃんね、そうなんだから。

ところがベビーブーマーはそうは思えないんだなぁ…。

いいかい、こういう婉曲表現は大体がベビーブーム世代の発明品なんだね。だからブーマーがその年になると、なんかいつの間にか新しい人生のフェーズができちゃった。それが「pre-elderly」。自分は老人なんじゃじゃない、「pre-elderly(老人前)」だって言うんだよ。ああ、悲しい、悲しすぎる…。

でも大丈夫。これだけ死を怖がってるお陰で、もう誰もdieなんかしない。今はみんなpass awayするだけでいいんだ。もしくはexprireする、雑誌の購読みたいにね。


*マタイの福音書第9章。日本語訳では「中風の人」とあるが、原書では「体に障害のある人」を癒した逸話が紹介されている。


 

0 comments:

Post a Comment