キャリアはiPhone貧乏?:How the iPhone Zapped Carriers @wsj

How the iPhone Zapped Carriers

By ANTON TROIANOVSKI, WSJ


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米ワイヤレス業界団体CTIAの調べによると、アメリカのワイヤレス業界は2010年、ネットワークやインフラの設備投資に2005年以来最高の$24.9B(249億ドル)を費やした。しかし、バーンスタイン・リサーチによると、このワイヤレスネットワーク投資の資本コストを上回るリターンを確保したキャリアはAT&Tとベライゾン・ワイヤレスだけだという。

同時期、アップルのiPhoneのフランチャイズは急成長した。アメリカ人の携帯依存が進んでいるにも関わらず電話通信産業が停滞している原因の多くはここにある。

ウォール街のアナリスト予想によれば、今年第4四半期のAT&Tのワイヤレス事業の利益マージンは過去少なくとも4年で最低となるそうだ。スマートフォン(iPhone 4S含め)の販売台数は四半期最高になるとAT&Tが言ってるにも関わらず。

なぜか? 新型iPhoneが売れるたびに、その出費が一番重くのしかかるのは消費者ではなくキャリアだからだ。アナリストの推計によると、消費者がiPhoneを2年契約で買うたびにキャリアはアップルに約400ドル払うようだ。

野村セキュリティーズのアナリストMichael McCormack氏は、2007年にiPhoneのキャリアになってからも、AT&Tのワイヤレスサービスの利益マージンは改善していない、と言う。

「大筋ではAT&Tの株主からAppleの株主に単に富が動いているのが実情ですね」―こう語るMcCormack氏は、AT&Tの第4四半期の利益マージンは第3四半期の44%から30%に落ち込むと見ている。

Appleの最新四半期の業績は、iPhone 4S発売の遅れが原因で金融筋の予想を下回ったものの、iPhoneとiPadの販売は急伸しており、収益は前年比54%増の$6.62B(66億2000万ドル)にも達した。

一方ワイヤレスキャリアはeリーダーやタブレットといった実入りの少ない端末向けに接続サービスを増設したにも関わらず、ユーザーから入る平均収入は年々減り続けている。UBS AGによると、第3四半期ワイヤレス事業者が平均的ユーザーから徴収する利用料は月$46.09で、1年前より2ドル下がったそうだ。

iPhoneのようなスマートフォンはデータプランに加入してもらえるメリットがあるので、キャリアが売り値を普通より高く補助しなくてはならない。Googleがスマートフォン用ソフトのAndroidを無料で配布していることもスマートフォンの販売を加速し、ワイヤレス帯域幅の需要を拡大した。

それやこれやで月当たりのワイヤレスデータ使用量は去年1年だけでティーンで3倍以上、それ以外の世代を総合すると2倍に増えた(ニールセン調べ)。

一方、YouTube動画再生なんかに比べると遥かに帯域幅を食わない音声通話から入る収益は年々減るばかり。 儲かるテキストメッセージさえも、AppleのiMessage(携帯電話会社にテキストメッセージ使用料を支払わなくてもスマフォ利用者同士でメッセージがやりとりできる)みたいな新手のアプリでその足元を脅かされている。

しょうがないのでキャリア各社は、急増するデータ使用からも利益を得られる新しい課金モデルを模索中だ。 今みたいにスマートフォンがブームになる前は多くのキャリアがデータ使い放題で、利益もあげにくかった。

AT&Tに続いて今年はベライゾンも段階別データプランを導入し、データを沢山使う人ほど多く払うシステムに切り替えた。

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大手はまだいい。

米国内3番手のスプリント・ネクステルは今年、iPhone提供開始を決めたが、それをやるにはアップルに$15.5B(155億ドル)支払うと約束しないと端末を回してもらえないのである、買い手がつくかどうかに関係なく。しかも同社が明らかにしたところによると、iPhoneは他の携帯より40%($200)高くキャリアが販売価格を補助しなくてはならない。

米キャリア大手4社でiPhoneを扱っていないのはT-Mobileだけだが、ここはそれが原因でカスタマーが減っている。(後略)

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いやはや。売るも地獄、売らぬも地獄。


[WSJ]

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